研究概要 |
平成21年度に実施した研究の成果として,マウス腸管のハブ毒を用いた絨毛傷害モデルから検体を得た.固定方法による免疫染色における抗原性の相違についても検討すべく糖液を段階的に濃くして脱水したのちZn固定を行ったり,PFA固定の際の固定時間による検討,凍結固定する際のアセトンなどを用いた前処置の検討や,切り出し時に形態を見やすくする固定方法の検討を行った.切り出しの際にも固定方法別に切片の厚さを検討した.腸管絨毛再生における脈管新生の過程を検討すべくisolectin B4,vWF,CD31,lyve1,さらには血管新生にサイトカインを介して関与すると考えられているshh及び腸管上皮幹細胞のマーカーであるLgr5に対する染色方法の検討を行った.賦活方法,抗体の濃度,1次抗体・2次抗体との反応時間を検討した.これらの抗体で免疫染色することで,傷害絨毛の再生過程に重要な役割を持っていると考えられる血管新生メカニズムの解明に貢献できる.ハブ毒による絨毛傷害モデルでは絨毛が完全に脱落したbasal laminaからの修復がみられるため,明らかにlamina propriaに存在する脈管は新生されたものである.またここでも骨髄由来細胞の関与を検討するためすでに確立した手技であるGFPマウスの骨髄を移植したマウスにおいてGFPを検出することでその関与を検討した.vWFは絨毛再生早期からlamina propriaの側方に絨毛と頂点を同様にして存在し,shhは2重染色で染色される細胞の一致を認めた.また,lyve1は主にbasal laminaに大きな管腔様に染色され,vWFとは一致しなかった.
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