研究概要 |
Ni-Tiファイルの疲労破折は、日常臨床において、非常に大きな問題となる。ファイルの変形量は、疲労破折を規定する重要な要素であり、その曲率半径は大きな影響を与える。本研究では、自作の疲労試験機を使用し、Ni-Tiファイルの破折に曲率半径が与える影響を明らかにすることを目的とした。 既存のファイルであるProFile(size30,0.06taper,Dentsply Maillefer,Switzerland)を試料とし、サイクル疲労試験を行った。自作疲労試験機は3本のステンレススチール製のピンにより、試料の曲率半径を規定し、その曲率半径を一定のまま、毎分250回転で疲労破折が生じるまで試料を回転させた。また、ピンにはロードセルを接続することで、試験中の荷重の変化も合わせて計測を行った。曲率半径は4、5、6、7および8mmの5条件とした。 曲率半径4、5および6mmのとき、試料の疲労破折に至るまでの回転数は小さな値を示し、かつ大きな荷重を示した。また、荷重の計測結果より、曲率半径4、5および6mm下では、超弾性変形が生じていることが示唆された。 以上の結果から、疲労破折は曲率半径量に対し、直線関係を呈しておらず、ある一定の曲率を境に、長寿命側と低寿命側に2分されることが示唆された。
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