研究概要 |
in vitro実験系における半導体レーザー照射後の歯髄細胞および象牙芽細胞に対するレジン成分の影響の検討を行った.検討対象のレジン成分は,ベースレジンとして多くの修復用コンポジットレジンに使用されているBis-GMAを用い,半導体レーザーとしては出力調整が段階的に変換可能なパナソニックP-Laserを使用した. ヒト由来培養歯髄細胞株および私達が確立したラット由来象牙芽細胞様細胞株が細胞死に到らないレーザー出力の上限を検討した.レーザー出力の設定については、私達の研究チームがこれまでに行なって来て得られた知見や、論文等で報告されている内容も参考に、実際の臨床での適応を念頭に条件づけを行なった.その結果,エネルギー密度12J/cm^2の出力が最適であることが示された。細胞にエネルギー密度12J/cm^2前後の半導体レーザー照射を行った場合では、当初想定していた特徴的な細胞増殖能の増加は検出されなかった。レーザーの作用を効果的に反映させる照射条件を再検討する必要がある。レーザー照射の条件設定を行った後には、当初予定していた以下の実験を実施する予定である。 1)細胞培養液中に数種類の濃度に調整したBis-GMAを一定時間添加した後,レーザー出力の程度による細胞周期の違いをフローサイトメトリーで確認 2)細胞増殖能の違いをBrdUのDNAへの取込み測定で確認 3)石灰化能の違いをアルカリフォスファターゼ活性測定およびvon Kossa染色により検討 4)ヘキスト染色による核の形態変化,および電子顕微鏡による細胞の形態変化の観察
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