研究概要 |
東南アジア熱帯雨林のアリ植物オオバギ属はアリ,カイガラムシと緊密な共生関係を結ぶ.本研究では,この3者共生系に特異的に寄生するシジミチョウ類(ムラサキシジミ属)およびタマバエ類(タマバエ科)の分子系統樹を作成し,両者がいつオオバギ共生系に寄生したのかを明らかにした.分岐年代推定の結果,オオバギに寄生するシジミチョウおよびタマバエの起源年代はそれぞれ205万年前および1060万年前と推定された.これらの結果は,シジミチョウはすでに種分化した既存のオオバギ・アリ・カイガラムシ共生系に後から参入し,その一方で,タマバエは3者共生の起源より古くからオオバギ属植物に寄生していたことを示唆する.
|