研究課題
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本研究はL型レクチンとEFハンド型Ca^<2+>結合タンパク質の複合体形成と分子認識の実態を解明し、この複合体が担う生体機能発現メカニズムを明らかにすることを目標としている。L型レクチン-MCFD2複合体のリガンド認識の解明ERGIC-53とMCFD2が複合体を形成するに伴い、ERGIC-53の糖鎖結合能が変調をうけるか否かを明らかにするために、ERGIC-53-CRDとMCFD2と糖鎖の三者の間の結合実験を行うことを試みた。等温滴定カロリメトリー法を用いた解析の結果、MCFD2の存在下、非存在下においてERGIC-53-CRDと糖鎖の間で同程度の親和性を示すことが明らかとなった。また、ERGIC-53-CRDとMCFD2の相互作用は、糖鎖に依存しないことも明らかとなった。以上の結果から、ERGIC-53-CRDの糖鎖およびMCFD2との結合はそれぞれ独立に行われていることが判明した。血液凝固因子欠乏症の発症の構造基盤申請者は構造生物学研究を通じて、代表的なL型レクチンであるERGIC-53とCa^<2+>結合タンパク質MCFD2からなる複合体の立体構造を明らかにしている。ERGIC-53とMCFD2は血液凝固第5第8因子欠乏症の原因遺伝子産物であることから、本疾患の発症メカニズムを明らかにすることを試みた。血液灘固因子欠乏症の発症原因となる遺伝子変異体を作成し、NMR、超遠心、質量分析を駆使した解析を行ったところ、変異を導入したタンパク質では複合体を形成しないことが明らかとなった。このことより、血液凝固因子欠乏症はERGIC-53とMCFD2の複合休形成の不全によってもたらされる血液凝固因子の輸送障害により発症すると考察した。本成果は、先天性血液凝固因子障害という病気のメカニズムの理解を促すものである。
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