研究課題
研究活動スタート支援
蚊の吸血の際に注入されたマラリア原虫スポロゾイトが、最初に肝細胞に寄生し何千ものメロゾイトへと増殖・分化するのが人への感染の最初のステップとなる。本研究は、肝細胞におけるマラリア原虫の寄生の分子基盤の解明を目的とし、特に肝臓ステージ後期に特異的に発現する原虫タンパク(LISP1)を足がかりにして、本年度は以下の研究を実施した。肝臓ステージ後期に起きる寄生胞の崩壊に関わるLISP1蛋白の挙動を解析することで、寄生胞崩壊プロセスを解析することを目論み、ネズミマラリア原虫の一種であるP.bergheiを用いてGFPタグを融合させたLISP1を発現する遺伝子改変原虫を作出した。さらに、原虫細胞質を可視化するために生活環を通じて細胞質にRFPを発現するような遺伝子改変原虫も作出した。これらを掛け合わせることで、肝臓ステージ後期の原虫の寄生胞崩壊のタイミングをin vitroでリアルタイムに解析する準備が整う。さらに、LISP1が寄生胞崩壊に関わる機構を解明する目的で、寄生胞崩壊を担う候補プロテアーゼであるSERA1、および寄生胞膜に局在が知られるEXP1の挙動をin vitroで観察できるように、上記と同じくGFPタグを融合させた各々の蛋白を発現させる組換え原虫作成のためのコンストラクトを作成した。LISP1欠損原虫とこれらのGFPタク蛋白発現原虫を掛け合わせることで、LISP1の寄生胞崩壊における機能を解析するツールが用意できる。一方で、肝臓ステージに発現する原虫蛋白に対する抗体の準備も整った。
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http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/parasitology/