研究概要 |
我々は、Aproliferation-inducingligand(APRIL)とその受容体であるBcellmaturationantigen(BCMA)が関節リウマチ(Rheumatoidarthritis ; RA)患者の関節線維芽細胞様滑膜細胞(Fibroblast-likesynoviocytes ; FLS)に発現しており、RA患者では血清APRIL濃度が有意に高いことを見い出した。さらにFLSにinvitroでAPRILを添加すると、FLSの有意な増殖と、炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、IL-6、および破骨細胞分化因子であるReceptoractivatorofnuclearfactorκBligand(RANKL) mRNA発現が有意に増加することを示した。 次に我々は、これまでB細胞の生存因子の一つと考えられていたAPRILとその受容体であるBCMAが、RA患者FLSに病的に発現しているメカニズムについて検討した。PU. 1およびOBF. 1はBCMAの発現調節に関わる転写因子およびコアクチベーターとして報告されている。エピジェネティックなPU. 1およびOBF. 1発現調節の破綻が、病的なBCMA発現の一因である可能性があると予測し、RAと疾患コントロールの変形性関節症(osteoarthritis ; OA)患者FLSにおいて、PU. 1およびOBF. 1遺伝子の発現について比較検討した。その結果、RA患者では,疾患コントロールのOA患者FLSと比して、PU. 1およびOBF. 1遺伝子の発現が有意に亢進していることが示された。さらに、PU. 1およびOBF. 1遺伝子の発現は、RA患者FLSにおいて、BCMAの遺伝子発現と有意に正の相関を認めることを示した。 以上の検討から、エピジェネティックなPU. 1およびOBF. 1発現亢進が、BCMAの病的発現亢進に関与し、RA患者FLSにおいてはAPRIL-BCMAのオートクラインループが形成され、炎症性サイトカインや破骨細胞分化因子の発現を亢進させることによりRAの病態に関与している可能性が示唆された。
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