研究概要 |
【研究目的】 ドイツと日本における「食と環境をめぐる教育のカリキュラムや授業実践」と「家庭や社会における食と環境に対する意識や行動」を比較すること通して,日本の中学校家庭科における食と環境をめぐる教育のカリキュラムを再構築し,授業実践を行う。 【研究方法】 (1)文献調査・情報収集・アンケート調査の設計および予備調査(2)先進的実践者訪問・カリキュラム作成(3)ドイツでの現地調査研究(中等教育機関3校での授業参観と教員や生徒への聞き取り調査。また、ESDを地域で推進しているレーン地方での聞き取り調査。)(4)授業実践と検証(「食でつながる-中学生もプロシューマー-」の授業実践。授業後の生徒とその保護者にアンケート調査を実施。あまりESDを意図しないカリキュラムで授業を行っている公立中の生徒と保護者にアンケート調査を実施し先の調査の比較。) 【研究成果】 (1)ESDの視点を導入した中学校家庭科の授業開発及び実践ができた。 (2)現地調査及び授業実践後のアンケート調査の結果から、以下のことが明らかになった。 ○ドイツの人々の食と環境に対する意識と行動への影響は、学校教育よりも家庭文化・地域文化の方が大きい。しかし、学校で問題解決型の学習や追究・探究活動を経験した子どもには、「未来に働きかけようとする意識や行動力」が生まれている。 ○日本の中学生とその保護者の食と環境への関心は高く、学校の授業がその行動にも影響を与えている。特に、地域や社会につながる追究活動は、中学生の興味・関心や情報収集に大きく影響を与えている。また、学んだことを行動に移す割合は生活経験の豊富な大人の方が多く、学びが生活の中での実践と結びついたとき、生活者としての行動へとつながる。 (3)公立中および附属中の教師の研修会で成果報告を行い、持続可能な社会を形成するために自分自身の生活のあり方を考え実践する子どもたちを育てる家庭科教育の構築について、交流することができた。
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