研究概要 |
(1)カイコの飼育システムの確立について 本校の3年生(159名)全員に飼育を行った。4名1班で10頭ずつ卵(ぐんま200・ぐんま黄金)から人工飼料を一日一回与え,観察を行わせた。1齢~2齢まではプラスチックの容器にキッチンベーパーを敷き,その上に人工飼料置き飼育をした。3齢以降は側面に穴を開けた段ボールにランラップを敷き,人工飼料を置き,飼育をした。予定していた飼育計画とほとんど変わることなく飼育することがわかり,それぞれの齢での様子の違いや,脱皮の様子,脱皮後の変化の様子などを観察することができた。最初は苦手意識をもっていた生徒も,卵から飼育することにより,大きさや飼育の容易さなどから次第に慣れ,3齢までにはほぼ全員が高い意識をもって飼育・観察することができた。なお,この飼育によって死亡したカイコは400頭中2頭で,他の昆虫の飼育に比べて死亡率が低く飼育・観察に適していることがわかった。 (2)細胞分裂(減数分裂・体細胞分裂)の観察 5齢になってから3~4日目の幼虫の翅原基,卵巣を摘出し,酢酸オルセインで染色し,それぞれの細胞分裂をするようすを観察させた。翅原基では体細胞分裂,卵では減数分裂の様子がわかり,染色体の長さからそれぞれの細胞分裂の違いを容易に分かることができた。動物細胞において同一個体から体細胞分裂・減数分裂の観察のできる教材はなかなか容易することができない。しかし,カイコでは5齢になって3~4日に卵巣において減数分裂の観察が,翅原基では5齢~蛹2日まで比較的容易に体細胞分裂の観察ができることがわかった。
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