大阪堆積盆地に代表される西南日本の堆積盆地の基盤はしばしば逆断層系の発達によって規定された構造を呈する。その構造を明らかにすることは地質学上不可欠であり、防災または環境教育の観点からも大変有意義なことである。構造解析の主力は地震探査反射法であり、これらを補間する形で重力探査が行なわれている。しかし、重力探査結果を解釈するための逆断層モデルの作成は困難であり、この手法の適用を妨げている。そこで、本研究では、各地の逆断層構造をより容易に解析してこれを身近な環境教育教材作成の治具とするための重力解析用モデリングソフトウェアの開発を目的とした。 上記目的を叶えるため、今年度9月末頃までに上町断層始端部の岸和田市久米田付近において断層を横切るように高密度重力測定を行うための測点設定予備調査を行い、10月以降順次本調査を実施した。これにより断層断面の2次元構造を推定し、逆断層面の変位及び傾斜をおおよそ推定した。これらを元に重力概査測定値から多項式近似により地下構造の初期モデルを作成した。この後、逆断層構造モデルを作って重力値を求めてこれと概査測定値とを比較してモデルを修正してゆくのであるが、逆断層構造から重力値を忠実に計算しようとするとモデルが複雑となり計算時間も大変長くなる。そのため、従来は垂直モデルを用いることがほとんどであった。Gotze and Lahmeyer(1988)が開発したFORTRANサブプログラムを応用すると逆断層構造の重力値も計算することができるが、逆断層モデルの作成は容易ではない。そこで、逆断層構造モデルを作成・修正するためのグラフィカルなモデリングソフトウェアプログラムを12月以降に作成し、これを用いてモデルの修正と重力値の計算を繰り返せることとなった。なお、より精度の高いモデルの構築を行ってゆくことが今後の課題として残された。
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