熊本城6箇所の城郭石垣について、ノンプリズムレーザー変位計により石垣の形状について調査を実施した。その計測データを利用して、非線形最小自乗法により設計パラメータを推定し、城郭石垣の設計法とされる「後藤家文書」「石垣秘伝之書」「石墻書」と比較した。その結果、熊本城の設計法として石垣秘伝之書であることが確認できた。また、出所不明だが過去の資料との比較からも同様のことが伺えた。そこでその手法を現存の石垣に適用した結果、主に地震等の影響でいくつかの城郭石垣で孕みだしなどによる崩壊の危険性があり、未来永劫石垣を保存するには、早急に修復等の対策が必要である。次に載荷実験装置で石垣の断面形状について、支持力による検討を行った。今回は、地盤の裏込め土にアルミ棒、石垣はコンクリートを成形したものを用いて、地盤工学上もっとも安定している対数螺旋、直線および石垣秘伝之書の3モデルについて実施した。実験の結果、直線モデルは石垣秘伝之書の半分の支持力しかなかった。また石垣秘伝之書は中央より下の部分で大きな変化が見られ、積み石がはじみ出されるように破壊した。 一方、対数螺旋モデルは支持力が大きく、載荷板が耐えることができなかった。今回は、城郭石垣遺構の診断までは可能となったが、時間の関係でシステムの開発までは至らなかったことを反省している。尚、本研究はこれで終わることなく、更に継続して推し進めていく予定です。
|