○研究目的:近年、医療や生命科学の分野で生体分子間相互作用のリアルタイム解析が必要であり、このような分野では、SPR(Surface Plasmon Resonance:表面プラズモン共鳴)を用いたBiacoreによる生体分子間相互作用解析がポピュラーである。一方でSPRよりも小型・安価で使いやすいと最近注目をあびつつあるQCM(Quartz Crystal Microbalance)も生体分子間相互作用リアルタイム解析に使われている。QCMとSPRは原理の違いから、求められた解離定数に差が生じることがあるがその理由はまだよくわかっていない。また、QCMシステムによっては抗原抗体反応を行わせる前段階で周波数が安定しないということも起きている。この原因もよくわかっていない。今回は前述2種類の測定システムにより決定された解離定数等の比較検討を行い、その違いと原因を明らかにし、分子間相互作用や吸着のメカニズムを詳細に検討することを目的とした。 ○研究方法:今回新たに共振型QCMの共振周波数特性測定ならびに電気的等価回路定数解析を行うためのPCをコントローラとした測定システムを構築した。従来の発振型QCMを用いて抗原抗体反応の検出最適条件を検討した。SPRにおいても最適条件の検討を行った。発振型QCM、SPRの検出条件をもとにし共振型QCMにおいて抗原抗体反応の検出を検討した。 ○研究成果:抗原抗体反応を検出するためにQCMを用いる場合、温度の影響はもとより、バッファーならびにサンプルの送液速度、抗原濃度、抗体濃度等が測定データに及ぼす影響がかなり大きいことが示唆された。
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