研究概要 |
○研究目的:トップレベルのラグビー選手が知能検査の積木課題(空間認識能力を反映する)で高得点を示すことが報告されている(2008.Kasahara)。そこで本研究ではトップレベルのラグビー選手に特徴的な認知能力の脳内基盤を解明する。また各種心理検査も行いアスリートの心理発達面についても調査する。 ○研究方法:対象はtop群(秋田ノーザンブレッツ選手)20名と、novice群(ラグビー未経験者)20名に対して、知能検査(WAIS-III)、MRI形態画像、fMRI機能画像検査(メンタルローテーション課題など、約3分のセッションを11通り)、心理検査(STAI, Self efficacy, EQ/SQ, NEO-FFI)を行った。 ○研究成果:多数の項目について検査を行ったため、解析が終了し空間認識能力と関連のある項目に焦点を絞り報告する。top群とnovice群において、知能指数、積木課題の得点、メンタルローテーション課題における正答率、反応時間いずれにおいても有意差は認められなかった。メンタルローテーション課題時の脳活動は、右上頭頂小葉、右背外側後頭皮質、左中側頭回においてtop>noviceで、右内側眼窩前頭皮質ではtop<noviceであった。これらの脳活動の差は、課題施行の方略の違いを反映している可能性があると考えられた。右背外側後頭~頭頂領域の脳活動がtop群で高いことから、top群はより俯瞰的かつ想像的に課題を遂行している可能性が示唆された。またメンタルローテーション課題における正答率と積木課題の得点は、top群、novice群いずれにおいても有意な正の相関を示した。
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