絞り(「甘木絞り」)の復活と保存・継承を目指し、経験のない人でもそれなりの作品ができる道具を開発し「絞り(甘木)」の復活と保存に協力することを目的とした。 高速精密卓上ボール盤や真鍮丸棒・角材、シャコ万等の材料を購入し、括り用針棒と取り付け具等からなる鹿の子絞り道具を製作した。 設計は、過去の経験を元に、(1)針棒では、両端に二種類の針を付けて絞り模様の大小を可能とした。また、棒長を長くして操作性の改善をした。(2)取り付け具は、括り作業時のことを考慮し、針棒の軸回転と固定点を支点とした回転を可能な構造として多彩な作業に対応できるものとした。 製作では、旋盤・フライス・汎用ボール盤作業等の機械加工は牛原氏(機械加工のプロ)に依頼し、針棒の針取り付け作業等の微妙な加工は休日と夜に行った。以前は苦労が多かった針用の直径0.6~0.7ミリ穴加工は、専用ジグを作ったことで比較的簡単にできた。高速精密卓上ボール盤の威力?また、針材質は耐久性(腐食)を考慮して、スプリング用のステンレス線とした。 「甘木絞り」保存会会員の試用結果より、Tシャツ等の厚物生地に鹿の子絞りをしたいという希望があり、針棒片側の針部を厚物対応の構造に改造した。 小・中学校の出前授業や女子高校の部活に使用したいという要望もあり、使用者の身長に対応するために、上下調整用の部品が必要になった。シャコ万やアルミニウム製のアングル材と檜角棒で対応することにした。 「甘木絞り」保存会会員の方々に、配布したところ大変喜んでいただいた。本来の目的の結果が出るまでにはまだ時間がかかると思われる。
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