研究課題/領域番号 |
21H00495
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 展大 九州大学, 芸術工学研究院, 講師 (70726364)
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研究分担者 |
秋吉 康晴 京都精華大学, ポピュラーカルチャー学部, 講師 (10751802)
水野 勝仁 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (30626495)
高尾 俊介 甲南女子大学, 文学部, 講師 (40597887)
松谷 容作 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (60628478)
城 一裕 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80558122)
横川 十帆 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 助手 (90881821)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | メディアアート / バイオアート / デジタル・ファブリケーション / 生命論 / 物質論 / NFTアート / メディア考古学 |
研究開始時の研究の概要 |
人文思想の分野では近年、「生命」および「物質」概念の再考が盛んに進められている。このことはポストインターネットとも呼ばれる近年のメディア環境に呼応すると同時に、人間を含めた動植物の生体組織やDNAを取り込んだバイオアートの実践や、物質の可塑的な特性を応用した3Dプリンタなどのデジタルファブリケーション技術の台頭とも無関係ではないと考えられる。このような観点から本研究では、生命と物質に関連する理論調査班と、ハード/ソフト/ウェットウェアに大別される制作実践班に分かれつつ、両者を効果的に接続することでメディアアートに関連する新たな表現形態を具体的に提出することを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究計画2年目にあたる2022年度は、初年度以来の計画の深化と拡張、その成果発表を中心に進めることができた。 まず、生命・物質をめぐる新たな表現形態を探るという目的から、特に「ソフトウェア」に関連するテーマとして、メンバー全員で文献購読や意見交換を継続的にオンライン上で実施した。具体的には昨年来、メンバーの高尾が発表したNFTアートの展開について文献調査と批判的検証、講師招聘などを進め(4/15, 5/11, 6/14, 7/6, 19, 28, 8/19, 9/14, 10/5, 19)、その成果の一部としてF・シュタルダーによる論考「コモンズからNFTsへ」の翻訳を発表した(雑誌『Medium』3号所収)。また、生命と物質の媒介項にあたる「食」という観点を立て、アーティスト・永田康祐の招聘イベントの実施に向けた文献調査と企画会議、九州大学・大橋キャンパスFood Labの現地視察と意見交換も進めた(6/1, 9, 24-26:現地, 7/11, 25, 8/18, 9/12, 10/25)。年度内に予定していた中規模の展示会は諸事情により延期となったが、次年度に実施予定である。 さらにハード/ソフト/ウェットウェアによる表現形態の調査と考察を、それぞれ複数ないし単独メンバーで分担して進めた。その成果は、昨年から進めた生態学関連の翻訳論文(C.ホアグ他、「荒廃地のエコロジー」)、国内外の学会発表(ISEA2022, Out in the Loop Festival, 日本映像学会、情報処理学会など)、そして論文(日本語7本、英語4本、昨年ウェブ公開された英語論文1本の印刷版も刊行)として公開された。年度末にはメンバーの城が、福岡市内で個展「木、紙、金属、磁器─予め吹き込まれた音響のないレコード─」を開催し、複数の関連イベントを展開するなどの成果を発表することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メンバー間での会合はオンラインを中心に頻度を上げ、あわせて対面での会合も含めた密な意見交換を進めることができた。その結果、生命と物質に関連する新たな表現形態として、多様なマテリアルによるレコードを応用したサウンド・メディアアート(ハードウェア)、クリエイティヴ・コーディングによるグラフィック表現(ソフトウェア)、そしてイカの色素胞や発光細菌等を用いたオーディオ・ヴィジュアル作品(ウェットウェア)という3つの軸においてメンバーのそれぞれが芸術実践的な探求を着実に進め、複数の成果を国内外で発表することができたため、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度から2年目までに研究体制の基盤構築と意見共有を、可能なかぎり進めることができたため、それを踏まえて最終年度には成果発表を進めていく。具体的には、関連する国際学会での発表が9月に決定しており、上述の「食」に関連する展示会や、それ以外にも中規模の研究集会などの企画も検討している。年度末には、以上の表現形態を理論的かつ歴史的な観点から統合するコンセプトのもと、その最終成果を展覧会およびシンポジウムなどのかたちで対外的に発表することとしたい。
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