研究課題/領域番号 |
21H00499
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
松枝 到 和光大学, 表現学部, 教授 (20181696)
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研究分担者 |
平澤 剛 明治学院大学, 文学部, 研究員 (00573792)
半田 滋男 和光大学, 表現学部, 教授 (10366958)
橘川 英規 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 室長 (20637706)
三上 豊 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 客員研究員 (60329018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 戦後美術史 / デジタル・アーカイブ / 前衛美術 / 前衛映画 / アート・ドキュメンテーション / 戦後芸術 / アーカイブ / 前衛芸術 / 資料保存 / アーカイブ研究 / デジタルアーカイブ / オーラル・ヒストリー / 近現代美術史 / アンダーグラウンド・フィルム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1960-70年代における領域横断的な芸術表現の検証に向け、既存の研究ではこれまで対象とされてこなかった周縁的資料を救出し、デジタルアーカイブ化による分析を通じて、作家・作品主義に止まらない横断的な1960-70年代芸術研究という新たな方法論の構築を目指す。 そしてこの方法論をもとに、現存する資料から表現の相互関連性や時代状況との関わりなどを読み取り、芸術表現の拡張の実態を明らかとする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、糸井貫二アーカイブス、ゼロ次元アーカイブス、夜行館アーカイブス、末永蒼生アーカイブス、日本大学芸術学部映画研究会アーカイブスなど、幅広く戦後日本の芸術表現に関わる資料の救出と保存・修復活動を進行し、さらにこれらのデジタル化によって高精細なデジタルデータの作成を行なった。これによって、貴重な資料の散逸や劣化を防ぐことが可能となった。 特に糸井貫二アーカイブスにおいては、資料のほか、初期作品である木版画の調査分析、デジタル化を進めた。そしてこれらの成果は、宮城県(ギャラリーターンアラウンド、10月12日~22日)、東京都(ギャラリーヤマト、3月6日~11日)の二会場で行なわれた「糸井貫二木版画展」への協力によって、一般に公開することができた。また、デジタルデータを活用することにより、糸井貫二の木版画を網羅的に掲載した『糸井貫二木版画集』を発行し、研究成果を発表することができた。 そして、年度末には東京文化財研究所において、本年度と昨年度に行なってきた研究の成果発表の場として、シンポジウム「日本戦後芸術をめぐるアーカイブの実践的研究」(3月16日)を開催した。このシンポジウムは2つのセッションで行なわれ、セッション1は「1960-70年代を中心とした実験映画、アンダーグラウンド映画のアーカイブとその可能性」と題し、米国フィラデルフィアよりコラボラティブ・カタロギング・ジャパンのディレクターである足立アン氏、国内でTAKU FURUKAWA ARCHIVEを運営する松房子氏を招聘して、映画、映像領域における作品、資料のアーカイブの実践的研究について議論した。セッション2は「資料から探る戦後芸術の足跡」と題し、元宮城県美術館副館長の三上満良氏を招聘して、美術資料の保存や展覧会での活用事例、地域における前衛芸術のアーカイブ実践などについて議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は、散逸や破損の危険性、保存・修復およびデジタル化の緊急性のある作品・資料が発見され、次年度の予算を前倒ししてこれらの作業に当てることができた。これによって、作品・資料の保存とともに、研究を当初の計画以上に遂行することができた。 また、シンポジウムでは、国内外の多くの専門家や学芸員、アーキビストの参加によって、戦後芸術表現と拡張性、そのアーカイブをめぐる議論を幅広く展開することができたため、次年度、さらに今後の研究につながるさまざまな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、前年度までにデジタル化した作品・資料のデータ(画像、映像)のカタロギング(目録化)およびデータベース化をさらに進めることで、デジタル・アーカイブの構築を遂行する。これによって、研究成果を社会へと還元していく。 また、前年度までに行なったオーラルヒストリー調査をウェブサイトで公開することで、その成果を発表していく。 さらに、前年度に行なったシンポジウムで展開された議論やそこで得られた知見をもとに、美術、映画、演劇などの芸術諸領域を横断するかたちで、アーカイブの実践的研究に関する論考集を発行し、最終の研究成果を発表する。
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