研究課題/領域番号 |
21H00511
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
中野 春夫 学習院大学, 文学部, 教授 (30198163)
|
研究分担者 |
土井 雅之 文教大学, 文学部, 准教授 (00614992)
太田 一昭 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (10123803)
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
本多 まりえ 明治学院大学, 文学部, 准教授 (60546878)
末廣 幹 専修大学, 文学部, 教授 (70264570)
竹村 はるみ 立命館大学, 文学部, 教授 (70299121)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
|
キーワード | エリザベス朝演劇 / シェイクスピア / 民衆文化 / 王国表象 / イングランド王国諸制度 / 英国史劇 / 近代初期イングランド社会 / 歴史の娯楽化 / 芝居小屋 / イングランド表象 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の対象はイングランド年代記を題材とする英国史劇であり、大衆劇場版のイングランド王国表象である。エリザベス朝英国史劇では年代記の歴史叙述が反実仮想的に書き換えられるばかりか、フェイク・ニュースに相当する仕掛けが施されることもある。さらには歴史的事件に仮想のロマンスを加え、小唄やダンスなどのミュージカル的要素を盛り込むことで、英国史劇は総合エンターテイメントとなっていた。本研究は、エリザベス朝の芝居小屋は権力側の歴史観を反復する従順なメディア媒体ではなく、この空間で上演された英国史劇は支配される側の人間がさまざまなシミュレーションを楽しむラディカルな娯楽コンテンツだったことを検証する。
|
研究実績の概要 |
1576年から清教徒革命勃発までの66年間、ロンドンの屋外劇場は最低料金1ペニーという破格の料金で不特定多数の大衆に娯楽を提供しつづけた。この屋外劇場は喜劇や悲劇とともに、イングランド王国史を題材とする歴史劇を上演し、王国の歴史や政治・経済に関する様々な情報を提供していた.本研究は、エリザベス朝英国史劇が行った書き換えの意味を、階層制度や課税制度、海外植民、貧困対策など同時代の社会的コンテクストから検証することにより、民衆の「声なき声」を掬い上げ、代弁するという近代初期の英国史劇が担った革新的な娯楽性を明らかにする。 初年度において、本研究は研究協力者1名を含めた8名による共同プロジェクト研究会を2回実施し(第1回令和3年7月31日(土)オンライン開催:第2回令和4年3月12日九州大学西新プラザ)、第1部門「エリザベス朝英国史劇における王国表象の歴史的側面」において芝居小屋の中で形成される特異な民衆版の「イングランド(人)」観を、第2部門「エリザベス朝英国史劇における王国表象の経済的側面」、娯楽コンテンツとしての英国史劇のラディカルな特性に関する研究発表を行った。それぞれの研究会で、関連する領域で重要な成果を上げている講演者を招待し、第1回目は千葉大学教授篠崎実氏、第2回目は京都大学教授廣田篤彦氏から研究課題全般に対する貴重かつ有意義な情報を得ることができた。 研究課題メンバー8名はそれぞれ、当該年度において得られた研究成果を著書、紀要論文、学術雑誌、学会等で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による制限は強いられたが、年2回の研究会において8名の共同研究者それぞれが着実な成果を発表し、個々の発表に対してもメンバー全員から活発なフィードバックが行われた。研究会および個々の打ち合わせによって充実した議論が交わされることにより、研究課題全般のみならず、共同研究者個々の研究対象に関する理解と分析が深化し、今後の方向性もより明確になっている。当該年度の成果は単著、紀要論文、国際学会での発表など、質量ともに予想以上に上げることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
順調に成果があげられているので、今後も計画通りに進めたい。
|