研究課題/領域番号 |
21H00577
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
八尾 隆生 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (50212270)
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研究分担者 |
井上 智勝 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (10300972)
蓮田 隆志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (20512247)
岡田 雅志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (30638656)
桃木 至朗 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい教授 (40182183)
山崎 岳 奈良大学, 文学部, 准教授 (60378883)
吉川 和希 関西大学, 文学部, 准教授 (60881464)
多賀 良寛 東北学院大学, 文学部, 講師 (20963391)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ベトナム / 近世漢文文書 / 神勅 / 漢喃研究院 / 第一国家公文書館 / 阮朝地簿 / 阮朝シュ本 / 地簿 / 村落文書 / タインホア省 / ナムディン省 / バクニン省 / フエ |
研究開始時の研究の概要 |
研究チームのいままでの個別研究の成果と既収集文書及び新出文書に立脚し、ベトナムの近世文書論を共通の課題とすることが今回の科研目的である。 具体的には文書群の作成目的、内容、書式形態、作成者・受給者の分類、作成年代、地域の分布・特色などの分析を行い、中国の専門家や日本史の専門家も分担者に加え、ベトナム近世文書の特徴や他国との類似性を明らかにし、東アジア漢文文書の総体的理解につなげたい。
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研究実績の概要 |
八尾は自己の『国朝刑律』研究深化とともに、研究代表者として、収まりを見せない新型コロナにより連絡の途切れがちな現地研究機関との関係維持に努めた。 桃木はナムディン省旧百穀社などで1990年代以来展開された日越合同調査での収集資料の見直しに着手し、地簿・家譜などの整理・分析を進めて論文も発表した。蓮田はこれまでの調査で収集した村落史料で勅もしくは勅封と称される文書史料のうち、人事に関連するものの整理と検討を行った。その中間成果として約80道の勅を翻刻した史料集を所属大学のワーキングペーパーとして公刊した。 山崎は、明代中越関係に関わる中国史料から、行政文書を収集する作業に着手している。その成果の一端を広島史学研究会における報告の中で発表した。井上は既蒐集の書籍所載、過去に漢喃研究院等で筆写したり、各地で撮影蒐集したりした神勅の文言をPC入力する作業を行ったほか、タインホア省・バクニン省の神蹟の記載事項を一覧化する作業を進めた。 岡田はベトナム王朝が編纂した地誌や地簿など西北山地の土地情報に関する文献・文書を、タイ系民族側の史料や現地調査で得たデータと対照させながら分析し、辺境地域における文書作成と情報集積のあり方を考察した。吉川は17~18世紀北部ベトナムの平野部で中央政府(黎鄭政権)や地方官と村落とのあいだでやり取りされた行政文書を考察し、公的負担の減免を官に働きかける村落の動きを解明して論考として発表した。 研究協力者である多賀は、フランスのアーカイブや図書館に所蔵されている近世・近代ベトナムの漢文・字喃史料に関する調査を行った。またこれと並行し、阮朝期の貨幣流通や財政政策、対外関係について論文および学会発表の形で研究成果を公表した。上田はベトナム在住で、唯一現地調査をフエ近郊及び紅河平野の複数の村落において実施し、外国語による論文を発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響は深刻で、予定していた現地調査、ベトナムの文書館での史資料収集はほとんど実現せず、わずかに研究協力者である上田新也による現地調査と、同じく協力者であるフランス在住の多賀良寛の文書館での史資料収集のみが可能であった。他の研究参加者は、既収の史資料にもとづく実績を上げており、そのレベルは極めて高いものであるとの自負はあるが、年度初めに策定した研究班としての組織だった研究スタイルを保持することが出来なかったことは深く反省せねばならない。ベトナム近世諸文書の特質を解明するためにも残り2年度でこの遅れを取り戻したい。
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今後の研究の推進方策 |
ベトナムの新型コロナに対する規定は変更がはげしく、現地協力機関であるベトナム国家大学ハノイ校所属ベトナム学院及び現地在住の協力者と緊密な連絡をとって、文書館・漢喃研究院利用の可否、地方での現地調査の可否などを把握しておき、許可が下り次第、研究班員全員がベトナムに渡航し、それぞれの研究分担に従って少し長めの期間をとって調査を行う。 帰国後はそれぞれが収集史資料を整理、分析に入る一方で、収集史資料はすべて代表者である八尾に集約し、再整理を行った上で、クラウドなどを利用して研究班全員が共有できるようにする。八尾が奉職する広島大学を会場として、10月末に広島史学研究会が開かれることから、研究班のうち数名が報告を行う一方、その終了後、本科研の研究会を開き、研究報告の他、残りの期間で実現できることを検討する。
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