研究課題/領域番号 |
21H00593
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 公益財団法人黒川古文化研究所 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
岡村 秀典 公益財団法人黒川古文化研究所, 研究室, 所長 (20183246)
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研究分担者 |
向井 佑介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50452298)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 考古学 / 中国前近代史 / 中国史学 |
研究開始時の研究の概要 |
日本国内に所蔵される中国考古資料の再発掘と中国の現地調査をふまえ、漢三国両晋時代の手工業における官から民への変化、都城制・墓制・車制などにおける“漢制”から“晋制”への変化を明らかにする。その上で、なぜ魏晋の貴族は薄葬を重んじ、整斉な都城を設計し、あえて鈍足の牛車に乗ったのか、漢と晋の間に古代から中世への社会変革を認める中国史学の時代区分論を再検討する。
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研究実績の概要 |
(1)2世紀後半の四川盆地に出現した「九子」工房の神獣鏡について、単著「画紋帯神獣鏡の東伝―型式と鉛同位体比からみた九子派の動態」『東方学報』(京都第97冊、2022年)を発表した。その概要は次の通り。三段式神仙鏡を制作していた「九子」工房では、広漢派の画紋帯環状乳神獣鏡を模作し、そこから画紋帯同向式神獣鏡や画紋帯対置式神獣鏡を創作した。対置式神獣鏡は、三段式神仙鏡の図像と銘文の影響をとどめたA類、スタイルの確立したB類とC類に分けられ、A類は四川と陝西に、B類は長江中流域に分布し、C類は江南の呉派による模倣と考えられた。このように長江上流域→中流域→下流域へと遷移していく現象を原料産地から解明すべく、兵庫県立考古博物館所蔵の千石コレクション「九子」同向式神獣鏡と対置式神獣鏡B類について日鉄テクノロジーにて鉛同位体比などの化学分析を実施した。その結果、京都府椿井大塚山古墳出土「九子作」対置式神獣鏡B類を含め3面すべての鉛同位体比が領域S-B間の異常鉛であり、長江上流域の原料を用いた可能性が高まった。 (2)2022年5月21日の第66回国際東方学者会議にてシンポジウム「漢晋変革の考古学的研究」をオンラインで主宰した。都城制については張学鋒(南京大学)「東アジアにおける“中世的都城”」と朱岩石(中国社会科学院考古研究所)「漢晋間における新しい宮城プランの確立と成熟」、墓制について向井佑介(本研究分担者)「漢晋の墓制変革─近年発見の曹魏大型墓をめぐる諸問題」と森下章司(大手前大学)「曹操高陵・洛陽西朱村曹魏墓出土石牌の性格」、輿服制について岡村(本研究代表者)「漢晋間における車制の変容」と小林聡(埼玉大学)「漢晋間における服制の展開─朝服制度の伝播を中心に」の発表があった。これに対して文献史学から佐川英治(東京大学)と考古学から市元塁(東京国立博物館)よりコメントをいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、今年度も予定していた中国調査ができなかったのは大きな誤算である。しかし、代わりとして実施した日本所蔵の中国漢六朝青銅器の化学分析が上述のように予想以上の成果をあげた。また、国際東方学者会議における本研究課題と同じタイトルのシンポジウム「漢晋変革の考古学的研究」が、中国から2名、日本から研究代表者と分担者を含め6名のパネリストとコメンテーターの参加を得てオンラインで実施され、実り多い成果を得ることができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
(1)日本に所蔵する漢六朝青銅器の化学分析を継続する。 (2)昨年度に実施した国際東方学者会議のシンポジウム「漢晋変革の考古学的研究」の成果を東方学会の英文紀要ACTA ASIATICAにとりまとめる。
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