研究課題/領域番号 |
21H00614
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
能城 修一 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (30343792)
|
研究分担者 |
工藤 雄一郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (30456636)
佐々木 由香 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 特任准教授 (70642057)
鈴木 三男 東北大学, 学術資源研究公開センター, 名誉教授 (80111483)
小林 和貴 東北大学, 学術資源研究公開センター, 学術研究員 (50332317)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 植物資料 / 同定 / 縄文時代 / 管理 / 利用 / 植物資源 / 多様性 / 森林資源管理 / 森林資源利用 / 有用植物 / 編組製品 |
研究開始時の研究の概要 |
日本列島の東半部では,縄文時代の人々は約7000年前に始まる縄文時代前期以降,集落の周辺で,列島在来のクリと外来のウルシを中心として植物資源を管理して活用し,それ以外の資源は周辺の二次林や自然林の野生植物から得たとされてきた。しかしクリやウルシ以外でも縄文時代の遺跡に頻出する植物群が存在し,編組製品には木材のヘギ材や,シダ植物の葉柄・中軸,樹木の根といった従来想定されていない植物の部位が使われていた。本研究では,縄文時代の集落に随伴する植物群の果皮や虫えい,内樹皮といった有用部位に注目して,その利用の実態と資源管理の状況を解明し,縄文時代の森林資源管理が含む多様な植物群の存在を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究では,クリとウルシを中心とした縄文時代の森林資源の管理と利用に付随する植物群の存在と利用部位を解明し,集落周辺における森林資源管理に存在した多様な植物利用の実態を明らかにする。 本年度は,以下の遺跡で森林資源の管理と利用に関して検討を行った。 (1)縄文時代中期から晩期において継続的に利用された福島県前田遺跡では,木材と種実の資料を対象として分析を行った。その結果,木材ではクリとウルシが資源管理のもとで多量に利用されていた点を確認した。また,ケンポナシ属やニシキギ属,キハダ,ミズキ,ムラサキシキブ属,ニワトコといった樹種の木材も器種によって多用されていた。このうちキハダとニワトコ,ミズキは果実も利用されており,縄文時代中期の人々にとってごく身近な利用植物であることが明らかになった。 (2)縄文時代前期の富山県南太閤山I遺跡では出土木材と花粉の検討を行った。その結果,集落周辺ですでにクリ林が人為的に維持されていたことを確認した。この遺跡では集落が確認されておらず,集落との関連は不明であるが,縄文時代前期では最も西の地点でクリ林の資源管理を確認した。 (3)縄文時代中期から後期にかけて集落が維持された埼玉県デーノタメ遺跡で,中期末の寒冷化イベントが森林資源の管理と利用にどのように影響したのかを花粉と種実の分析から検討した。その結果,中期と後期では出土する分類群が若干異なるものの,継続的にクリとウルシの森林資源の管理と利用が行われていて,寒冷化イベントの影響は認められなかった。 以上の出土資料の検討のほかに,縄文時代でも早期以降に多数見いだされている編組製品の素材の採取と利用の実態を解明するため,ラオス国立大学と共同研究を行い,ラオス国内の編組製品の素材の調達や製作過程の聞き取り調査を行い,製品の実物資料を入手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で2021年度内には実施できなかった出土資料の調査が2022年度にはかなりできるようになり,予定した資料に加えて,それ以外の遺跡での資料の検討も進められる状況なった。また当初は予定していなかったラオスにおける調査では,縄文時代に通じる素材の入手方法や加工の情報を得ることができ,集落周辺の植物の知識の重要性を確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
当年度に分析を行った前田遺跡とデーノタメ遺跡の分析は継続して行い,時代および資料をより網羅するように調査して,両遺跡の周辺における森林資源の管理と利用の詳細を解明する。それらの遺跡に加えて,予定している下宅部遺跡や真福寺貝塚などの出土資料を検討し,森林資源の管理と利用の地理的な違いの有無を検討する。
|