研究課題/領域番号 |
21H00670
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鹿野 菜穂子 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10204588)
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研究分担者 |
中田 邦博 龍谷大学, 法学部, 教授 (00222414)
カライスコス アントニオス 龍谷大学, 法学部, 教授 (60453982)
林 秀弥 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30364037)
古谷 貴之 京都産業大学, 法学部, 教授 (40595849)
川村 尚子 國學院大學, 法学部, 准教授 (00805731)
渡邊 貴 岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (10963564)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | デジタルプラットフォーム / 民法 / 契約法 / 消費者法 / 経済法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、今後のデジタル経済の展開において、デジタルプラットフォームの介在する取引が益々重要性を増しその中核的位置を占めることに鑑み、デジタルプラットフォーム取引に関する公正な市場形成のためのルールの在り方を、特に契約構造に焦点を当てて検討するものである。本研究は、実体法上のルールの在り方をまず検討するが、それに加え、紛争処理のための手続的な仕組(裁判外紛争処理[ADR]を含む)や、ルールの実効性確保のための方策についても検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、3年間の研究の中の2年目であることから、1年目の研究の進捗を踏まえ、以下の点を中心に研究を行った。 第1に、2021年度に着手したデジタルプラットフォームのビジネスモデルとそれに関する法規制の分析をさらに継続した。特に、近年制定された「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(2020年制定)、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」(2021年制定)が、それぞれ施行日を迎え、運用を開始したことから、その運用状況も見ながら、残された課題等を明らかにする作業を行った。 第2に、本研究課題に関する海外の動向、とりわけEUの動向について調査分析を行った。この点に関しては、特に2022年にEUにおいて、デジタル市場法(DMA)およびデジタルサービス法(DSA)が採択されたが、その採択された法(規則)の内容分析を行うとともに、その採択までの段階的な議論について、調査し検討を行った。また、これらのテーマに関して、日本の状況との比較法的な視点も踏まえて、ドイツでセミナー等も実施した。 第3に、デジタルプラットフォームが関わるデジタル取引について、経済法、表示広告規制などの観点からも検討を行った。デジタル広告規制については、日本でも、2022年度に一定の動きが見られたが、その新しい立法動向や残された課題等について検討を行った。 第4に、消費者契約法や特定商取引法など、消費者の利益保護のための中心的な法律が、デジタル時代の取引上の問題に対して、どのように機能しうるか、どのような欠缺があるのかを、消費者法の現代化という観点から検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、新型コロナウィルス感染症の影響による制約のため、海外での実地調査や外国人研究者の招聘は実施できず、外国法の検討は、文献調査にとどまっていたが、2022年度は、海外渡航の制限も緩和されたため、2021年度の遅れを取り戻すべく、現地調査等を実施した。しかし、未だ海外からの研究者の招聘には困難があり、したがって、海外の研究者を交えた日本でのセミナーや研究会などは限定的にしか行うことができなかった。 このような事情により、特に比較法的な研究の一部に遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、第1に、海外から研究者を招聘して、本研究課題に関する講演会やセミナー等を開催し、その議論を通じて、海外情報の収集・分析を図るとともに、我が国の今後の法規制のあり方について、契約法的観点を中心に検討を行う。日本の国内外で、新型コロナウィルス感染症に関連する規制が緩和されてきたため、特別の事情が生じない限り、このような国際的な学術交流集会も実現可能であると考えている。 第2に、ヨーロッパの現地調査を実施し、特に2022年にEUで採択されたデジタル市場法およびデジタルサービス法をめぐる議論状況の調査分析を行う。 第3に、2023年度には、本研究の成果の一部を、2023年6月の比較法学会ミニシンポジウムおよび2023年10月の消費者法学会大会シンポジウムにおいて発表することを予定している。その準備研究会という形でも、本研究の推進を図っていくが、これらのシンポジウムの後には、シンポジウムにおいて交わした議論や頂いた指摘等を踏まえて、さらに検討を深めることを予定している。 以上のような作業を踏まえて、2023年度後半には、本研究のまとめの作業に着手する。2024年度には、本研究の成果をまとめた書物を出版することを計画しており、その準備を2023年度中に進めていく。
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