研究課題/領域番号 |
21H00714
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
樋口 裕城 上智大学, 経済学部, 准教授 (60757269)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 開発経済学 / 公共セクター / マネジメント / 社会実験 |
研究開始時の研究の概要 |
途上国が抱える問題の1つに行政の非効率さがあげられる。特に徴税能力が限られているために税収が低く、公共事業や教育に十分な予算が割かれていない現状がある。本研究ではタンザニア国税庁と協働して各税務署に日本式カイゼンを導入することで、その組織的な能力の構築を試みる。介入は社会実験の設計で行う。介入の前後に、税務署長と職員へのインタビューと税務署への監査を行ってデータを集めることで、介入効果を測定する。
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研究実績の概要 |
途上国は多くの問題を抱えているが、その1つに、行政能力の低さがある。しかし、政府や公務員についての実証研究は限られており、行政の非効率さの原因はよくわかっていない。開発経済学では家計に関して、1970年代からの家計調査に基づく研究の蓄積がある。また、企業センサス、入札データ、貿易統計などのデータの利用可能性の拡大に伴い、企業に関する研究も蓄積されつつある。家計や企業と比較して、政府や公務員に関する実証研究は新しい。本研究では、途上国における行政機関の非効率さの原因について、実証的な探求を試みる。その際に、行政機関の組織としての管理運営能力に着目する。これは、広義のマネジメント能力とも言い換えられる。企業研究においては、組織としての能力が生産性を大きく左右することが明らかとなってきた。そこで、タンザニアの政府機関と協働して、公共サービス機関に日本式カイゼンを導入することで、その組織的な能力の構築を試みる。途上国の役所・学校・病院等では、書類や名簿が整理されていない、必要な情報伝達が行われていないといった、初歩的な組織の問題が蔓延し、業務の効率性がそがれている。日本式カイゼンは、参加型で継続的な組織能力の向上を特徴とし、日本の産業発展に貢献し、行政機関でも広く採用されてきた。社会実験の設計でこれを、タンザニアの公共サービス機関に導入する。機関への監査、職員と利用者への聞き取り調査により、カイゼン導入が業務効率や職場環境、ひいては、利用者の満足度にあたえる影響を、統計的に分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナによる現地への渡航の制限、カウンターパートとなる政府機関の担当者の異動等により、現地調査のための渡航ができない状態が続いており、予定が延期されている。そのため、当初の予定であった一次データの収集の予定は後ろ倒しとなっているが、関連する分析として、リサーチアシスタントを雇用し、二次データの収集・分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、現地の研究協力者とオンラインで協議を重ね、質問票調査と社会実験の開始に向けた準備を進めている。今年度は、状況が許せば現地に渡航してフィールド調査を行ったのちに質問票調査と社会実験を開始したいが、難しければ、現地協力者の協力とリモートで密にやり取りをしつつ、こうしたタスクを開始する。
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