研究課題/領域番号 |
21H00768
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
轟 亮 金沢大学, 人文学系, 教授 (20281769)
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研究分担者 |
岡田 努 金沢大学, 人文学系, 教授 (10233339)
小林 大祐 金沢大学, 人文学系, 教授 (40374871)
歸山 亜紀 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (50767358)
俵 希實 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 教授 (60506921)
伊藤 大将 東京都立大学, 国際センター, 准教授 (70758664)
杉野 勇 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (80291996)
吉岡 洋介 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90733775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 価値意識 / インターネット調査 / アメリカ / 国際比較 / オンラインパネル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日米の若年世代を対象として統計的社会調査を実施し、データを計量社会学的に分析することで、日米の若年世代の価値意識・社会意識の分布状況、価値の変容について明らかにする。日米の若年世代の価値意識と社会意識の様態と変容、そして日米の差異を生じさせる要因を捉えるため、社会意識の計量的研究のこれまでの成果および青年期心理学の知見を用い、新たに開発する質問項目によって、インターネット調査を行う。
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研究実績の概要 |
令和4年度の研究実績としては、主たるものとして、第1に、若年層(18~39歳)を対象として、米国全国若年調査を、登録モニターを用いるインターネット調査法で実施した。有効回収は、アメリカ3,174人である。次年度に実施する日本全国若年調査と比較することを想定して、質問項目、回答形式を設計した。この調査の質問項目の検討や調査実施のための割付等を、オンラインでの研究会を複数回、継続的に開催し、共同して研究組織が行った。前年度に実施した成人調査の結果を踏まえて、項目設計をした。意識・行動項目の一部を紹介すると、中間選挙での投票行動、政治的有効性感覚、再配分政策、パンデミックにおける行動制限についての意見、権威主義的態度、医療に関する意見、自律性、他者への共感性、性別分業意識、家族観、信頼、対人関係における態度、諸制度に関するイメージ、将来予測、階層帰属意識・生活満足・幸福感、政治的態度などである。 第2に、前年度に実施した、日米成人全国調査(18~69歳)のデータを分析し、学会発表、論文等として成果の発表を行った。その準備のために、研究組織で研究成果の検討会をオンラインで実施した。特に日本社会学会での共同報告おいて、約60項目について回答分布の日米委比較を行い、(1)これまで確認されてきたように、生活満足度が大きな日米差を示した項目であること、(2)これを上回る項目に、10年後の自分の生活、将来よりもいまの人生を楽しむ、外国人が隣に引っ越してきたら気になる、などがあり、ポジティブ感情項目に比べて、政治意識やジェンダー意識、環境意識の差異は大きくないことが明らかにした。また、数理社会学会の報告では、社会心理学での他母集団同時分析を用いた国際比較の手法を応用して、組織コミットメントの日米比較を行い、新しい知見を得た。その他、論文発表、学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
さまざまな理由からの調査委託経費等の上昇の影響が懸念されたが、質問項目を抑制することなく、予定通りの大きな標本サイズ(約3,000人)で回収ができ、米国全国若年層調査を実施することができた。前年度に実施した日米全国成人調査の結果を踏まえて、新規に開発した独自性のある質問項目も設定し、コロナ禍後のアメリカの若年層の生活行動と意識に関する、稀少価値のある調査データを収集することができた。特に、タイムリーな論点として中間選挙の投票行動に関する質問を導入しており、政治意識との関連を分析できることは、米国若年世代の政治行動や政治意識を明らかにする点で、独自の価値をもつデータであると言える。この調査実施の準備のために、オンライン会議を幾度も開催し、調査項目の設計を共同で行った。これによって次年度に実施する、同形式の日本調査の準備も予定通りに進めることができ、日本調査についても年度の早期に実施することが可能とすることができた。 また、前年度の日米全国成人調査の比較分析を進めて、学会報告や論文を発表した。さまざまな知見を新しく得ており、次年度からのさらなる成果発表の準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進について、2023年度も引き続き、研究組織の密接な協働を進めていく。定期的な分析報告会を開催し、日米比較データの分析の成果を対外的に発信していく体制を強化していく。研究分担者が別の国際共同研究を進めており、そのルートも通じて、海外の研究者や研究機関との研究協力の可能性を引き続き探っていく。推進のために、本プロジェクトの成果について国際学会で報告することを積極的に進めていく。また、金沢大学の研究課題グループをベースにして、哲学・倫理学や人文地理学、文化人類学などの他学問領域の専門家との議論を積極的に進め、共同の学術イベントへの参画をはかっていく。また、金沢大学外では、SSP研究会(社会階層と社会意識研究会)や日本の代表的な若者論研究者等との協力関係をすでに築いており、調査結果を多角的な観点から分析するための支援を受けることができる。さらにインターネット調査をめぐる諸課題を中心として、方法論上の検討を行うために、社会調査法研究会(お茶の水女子大学)の協力を得、積極的に連携していく。
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