| 研究課題/領域番号 |
21H00773
|
|---|
| 研究種目 |
基盤研究(B)
|
| 配分区分 | 補助金 |
|---|
| 応募区分 | 一般 |
|---|
| 審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
|---|
| 研究機関 | 尚絅学院大学 |
|---|
研究代表者 |
長谷川 公一 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 特任教授 (00164814)
|
|---|
| 研究分担者 |
喜多川 進 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00313784)
池田 和弘 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (20590813)
野澤 淳史 東京経済大学, 現代法学部, 講師 (30758503)
佐藤 圭一 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40757093)
辰巳 智行 豊橋創造大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40907911)
中澤 高師 東洋大学, 社会学部, 教授 (50723433)
平尾 桂子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70158335)
TRENCHER GREGORY 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90802108)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
| 配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
|
|---|
| キーワード | 気候危機 / エネルギー政策 / カーボンニュートラル / 1.5度目標 / ネットワーク分析 / パリ協定 / 政策ネットワーク分析 / 政策波及研究 / 脱炭素社会 / グラスゴー合意 / 国際比較 |
|---|
| 研究開始時の研究の概要 |
気候危機への政策的な対応について、グローバル・ナショナル・ローカルなレベルの重層的な構造に着目し、政策決定過程のネットワーク分析によって、積極性・消極性を規定する諸条件の解明に努める。 A)グローバルなレベルでは、世界各国の2030年目標の上積みの程度に着目する。 B)ナショナルなレベルでは、政策的な主張と影響力の大きさを考慮し、キ ープレイヤーのネットワーク図を編成する。C)ローカルなレベルでの紛争事例について、女川原発・浜岡原発の再稼働、仙台港・神戸市・横須賀市における石炭火力発電所問題に着目し、地方自治体の2050年ゼロカーボン宣言がどのような諸要因に規定されているのかに着目する。
|
| 研究実績の概要 |
気候変動政策への自治体間の姿勢の差はどのような要因によって生じているのか。2022年度は、2020 年 3ー6 月に 157 自治体(都道府県・政令指定都市・中核市・特 例市・特別区)を対象に、郵送法により実施した首長意識調査(有効回答 93 票)と担当部局調査(同 146 票)を、「2050 年二酸化炭素排出実質ゼロ」宣言の有無など、非国家アクターとしての地方自治体レベルでの気候変動への対応に焦点をあてて詳細な分析を進めた。排出ゼロ宣言別に「表明済み」「検討中」「予定なし」に分類し、注目している 動向や直面している問題や課題への回答を宣言状況ごとに確認した。さらに、首長に対する意識調査の結果から 首長の積極性の違いを確認し、探索的な因子分析による因子得点から首長意識と宣言状況の関連を検討した。その結果、「表明済み」「検討中」と「予定なし」の違いを生みだす要因として、国内外の動向やエネルギー政策への関心の高さ、気候変動政 策への積極性，および域内の排出源を課題として捉える姿勢が見いだされた。「表明済み」と「検討中」は、エコロジー的近代化に関する因子得点が高く、Business as usual シナリオからの脱却を目指す態度が強い傾向が認められた。「表明済み」は地域新電力や自治体電力に関心を持ち、再生可能エネルギー普及への積極性が見られた。「検討中」は、中期的削減目標の引き上げに消極的で、域内の再生可能エネルギー普及を課題として抱えていた。あわせて神奈川県および同県内の市町村を対象に事例研究的なインタビュー調査を行い、横浜市のような国際都市ネットワークに繋がる先進的自治体が宣言し、それに注目した国が自治体へ宣言を呼びかけ、宣言自治体の増加が国によるゼロ宣言の一因となり、自治体の宣言がさらに促進されていくという、垂直的波及と水平的波及の連鎖過程が明らかになった。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請段階では、2011年から13年に実施したサーヴェイ調査に続いて、気候変動政策にかかわる主要官庁・政党・地方自治体・企業・業界団体・NGOなどを対象とするサー ヴェイ調査を計画していたが、コロナ禍が長引いたため、サーヴェイ調査の実施が遅れていたが、2022年度は、2050年カーボンニュートラルを宣言した神奈川県内の主要自治体を対象とする事例研究的な聞き取り調査が実施でき、全国を対象として、首長と担当部局にあてた2020-2021年度の郵送調査を補完することができた。量的な分析に適した郵送調査と、個別的な背景や実像に迫ることのできる質的な調査を組み合わせることは一般に必ずしも容易ではないが、本プロジェクトでは、郵送調査と事例調査を有機的、相互補完的に連動させることができている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、2011年から13年に実施したサーヴェイ調査の第2次調査にあたる、気候変動政策にかかわる主要官庁・政党・地方自治体・企業・業界団体・ NGOなどを対象とするサーヴェイ調査を対面で実施する。気候危機のような難しい問題については、オンライン調査では、表面的な回答しか得られない可能性が高く、対面調査が可能となる時期が待たれた。120団体程度を対象として、早期にサーヴェイ調査を実施する。これまでの研究成果について、国際比較に焦点をあてて、国際社会学会（ISA)の世界社会学会議メルボルン大会（2023年6月開催）のセッションで日本側の報告を行うとともに、インド、カナダなどの研究成果との突き合わせを行う。
|
