研究課題/領域番号 |
21H00799
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
藤原 正範 日本福祉大学, ソーシャルインクルージョン研究センター, 研究フェロー (90410935)
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研究分担者 |
掛川 直之 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (30825302)
湯原 悦子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60387743)
金子 毅司 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (60907806)
秋山 巌 佐野日本大学短期大学, その他部局等, 講師(移行) (10963895)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 司法ソーシャルワーク / 刑事裁判 / 刑事弁護 / 更生支援計画 / 福祉ニーズのある被告人 / 立ち直り支援 / 環境調整 / 情状証言 / 更生支援 / 福祉のニーズのある被疑者・被告人 / 再犯防止 / 刑事司法手続 / 福祉ニーズのある被疑者・被告人 |
研究開始時の研究の概要 |
罪を犯して刑事司法手続に入ることを余儀なくされた人の相当数には福祉ニーズが存在する。それが公的に認知されず、また認知されても適切な支援が得られず、その結果犯罪を繰り返す人も多い。軽微な犯罪で検挙され累犯者であるため刑務所に辿り着く障害者、高齢者は増加傾向にある。 本研究の目的は、福祉ニーズのある被疑者・被告人の刑事司法手続、とりわけ裁判の中での弁護活動にソーシャルワーカー(日本の国家資格としては社会福祉士・精神保健福祉士)が関与することが、本人に関わる情報をより豊富で的確なものとし、ひいては本人が司法手続終了後再犯のない生活を選択することにつながることを実証するものである。
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研究実績の概要 |
基盤研究(C)の研究活動の一環として行ってきた「司法ソーシャルワーク研究会」・「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」・「司法ソーシャルワーク研究集会」を、2022年度は本研究の基幹をなす活動として、引き継いで実施した。 そのような恒常的な活動に加えて、本研究は目的達成に向けて次の2つの調査活動を行うことを決定した。 ①刑事弁護において社会福祉士が被告人の更生支援計画を作成するなどの活動がどのように展開されているかについて、単位弁護士会・都道府県社会福祉士会を訪問して聴き取り調査を行う(以下、訪問調査という)。 ②名古屋地方裁判所の刑事裁判を、一定期間集中的に、研修を受けた調査員が傍聴し、被告人の福祉ニーズの存在とその内容、それが裁判の中でどのように扱われているかを調査する(以下、傍聴調査という)。 この2つの研究調査の方法を議論し決定する場として、研究代表者・研究分担者と研究協力者(弁護士・社会福祉士)によって「研究ディテール検討会」を構成し、2022年度内に3回開催した。 ①は、「『人を対象とする研究』に関する倫理審査委員会」(以下、倫理審査委員会という)の2022年4月19日の承認を受け、同年5月、14弁護士会・12社会福祉士会に調査依頼を行い、6~9月、同意が得られた12弁護士会・7社会福祉士会を訪問し聴き取り調査を行った。②は、倫理審査委員会の同年7月22日の承認を受け、研究を委託する専門知識・技能を有する会社の選定に入った。株式会社サーベイリサーチセンター名古屋事務所(以下、研究受託者という)に研究委託を行うことを決定し、同年10月3日に契約を締結した。2023年1月7・8日、研究受託者採用の調査員の研修を実施した。研究受託者管理のもとに同調査員が、2023年1月16日から3月31日まで、第1次調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基盤研究(C)の活動を引き継いだ3つの会議は、本研究の基幹となる活動として2022年度に大きく発展した。「司法ソーシャルワーク研究会」はオンラインで月1回開催した。「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」は2022年8月・9月に対面で、10月以降は月2回オンラインで実施した。「司法ソーシャルワーク研究集会」は2022年6月・7月、2023年1月に開催した。この場には研究代表者・研究分担者と研究協力者(弁護士・社会福祉士等)が集い、刑事弁護において法律専門職と社会福祉専門職が協働する活動の実践例、この課題に関する国内外の最新情報を話題にし、実践的な意見交換を行っている。 2つの調査研究も順調に推移している。訪問調査に関しては、12弁護士会・7社会福祉士会を訪問し聴き取り調査を行った。傍聴調査に関しては、2023年1月16日から3月31日までの間、名古屋地方裁判所において研究受託者採用の調査員(研究機関による研修修了者)が第1次調査を実施し、被告人49人のデータ取集を行った。データの研究機関への提出は2023年6月の予定である。 2つの調査研究について、2022年度予定していた第1次のデータ収集を終えることができた。新型コロナウィルス感染症蔓延による行動制限のため2021年度の研究は大きく遅れたが、本年度中に完全に取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
「司法ソーシャルワーク研究会」の月1回開催(オンライン)、「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」の月2回開催(オンライン)を継続し、「司法ソーシャルワーク研究集会」は年3回開催(対面)を目標とする。 訪問調査については、19弁護士会・17社会福祉士会に依頼する。日本弁護士連合会が制定した「罪に問われた障がい者等の刑事弁護の支援に関する会規」の運用が2023年4月1日に始まるため、本研究課題に関わる単位弁護士会の動きが大きく変化するすることが予想されるので、19弁護士会の調査を優先する。2022・2023年度調査で得られたデータを整理し分析を行う。 傍聴調査について、2023年4月中に研究受託者と研究委託に関する再契約を締結する。同年5月中に研究受託者採用の調査員に対する研修を行い、6月から9月ころまで第2次調査を実施する。第1次・第2次調査を合わせて被告人100人分のデータ収集を目指す。2023年度内に研究受託者から整理したデータを受け取り、分析作業に入る。 2つの調査活動についての成果を公表する準備を開始し、可能な範囲で学術集会等において中間的な研究結果の発表を行う。
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