研究課題/領域番号 |
21H00800
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
西垣 千春 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (40218144)
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研究分担者 |
稲葉 美由紀 九州大学, 基幹教育院, 教授 (40326476)
田宮 遊子 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (90411868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 若者 / 生活困窮 / 不安定就労 / 困窮予防 / 長期的影響 / 精神状態 / 非正規就労 / コロナ / 生活保護 |
研究開始時の研究の概要 |
若者の不安定就労の原因と長期的影響を明らかにし、生活困窮に陥らないための対策を考案する。 中年期に至ると非正規就労も困難となり、経済的困窮に陥るものが多く、若い年代での非正規就労、正規就労中断の原因、その長期的影響の解明を行い、生活困窮予防策の可能性と必要性を示す。研究方法は、A自治体の社会福祉協議会が統括する困窮者支援事業で支援を受けた者を対象として、統計的分析を行う。同時に新規に把握される若者の聞き取り調査を行い質的分析も行う。日本の就労環境の特徴を国際比較を通して把握し、学術分野を横断する視点から予防策の提案を行う.
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研究実績の概要 |
令和3年度は生活困窮者の相談記録のデータ化を行い、若者困窮者の状況把握を予定していた。2020年度の相談記録のデータの分析および経済的支援を受けた方への継続的アンケート調査による生活状況の分析を実施した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、これまでの相談内容とはやや異なる状況が報告されたために、現場への分析成果還元を優先するためにまず、コロナ禍の影響を受けたものの特性を明らかにすることを優先した。その中で若者の生活困窮についても特性把握を行った。 相談記録のデータ分析においては、新型コロナの感染拡大前よりも経済的支援を必要とするものは減っており、例年600件ほど経済的支援を必要しているが、2020年度は533名、そのうちコロナの影響を受けたものは169名であった。男女比は 3:2、男性では半数が若者、女性では3分の2が若者であった。男性では失業が多く、女性では減収、40歳までのものの支出増による生活困窮が多かった。アルバイトで生活を維持していたものが生活への大きな影響を受けていることが明らかになった。 アンケート調査では、生活上の課題をもつ若者の就労と自立について検討するために、生活困窮に陥り福祉的緊急支援を受けた、若者を含む非高齢層を一定期間追跡調査したデータを分析した。その結果、生活保護を受給していたが2年以内に生活保護の廃止に至る程度に自立した生活を取り戻すに至った者は、失業状態を脱して就職したことに加え、健康上の課題を抱えていない(主観的健康評価が低くない、通院や入院をしていない)ことが観察された。他方で、生活状態が悪化し、生活保護の受給開始に至った者の場合、離職と健康状態の悪化が生活保護開始前後に見られる傾向があった。 これらの得られた研究成果は大阪府社会福祉協議会主催の研修会で現任の相談支援担当者や福祉事務所の職員への報告を行い、議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、2020年度の相談記録の分析、また、その後の質的分析に向けて研究者間で議論を深め、準備していく予定であった。 データ分析についてはおおむね進めることができ、上記成果で報告の通り結果を導けた。しかしながら、コロナの感染は収まらず、質的調査に向けての準備は大変困難な状況にある。様々な生活支援が行われた状況の中、生活困窮に陥るものの数の減少、また、これまでと異なる傾向が見られた。 データの確保はできており、今後に向けた分析の方向性を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究推進の基本的方法に大きな変更はなく、2022年度においてはさらにデータを加え分析を進めていく予定である。 新型コロナ感染が3年目に突入することは当初考えていなかったために、インタビュー調査の実施については、方針変更が必要かもしれない。今後研究者と現任の支援者で意見を交わしながら、より意義のある質的調査について検討していく。 実践現場での活動に役立ててもらうために行った2020年度の分析で、コロナ禍において、それまで生活困窮に陥らずに生活していたものの状況が把握できた。特に、制度の対象とならないが、リスクの影響を受けやすいもの、また、公的施策の情報が届きにくいものの状況を把握できることになり、研究成果の幅を広げられると考えている。
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