研究課題/領域番号 |
21H00818
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
浅野 慎一 摂南大学, 現代社会学部, 教授 (40202593)
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研究分担者 |
川地 亜弥子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20411473)
横関 理恵 拓殖大学北海道短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (30847942)
江口 怜 摂南大学, 現代社会学部, 講師 (60784064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 夜間中学校 / ポスト・コロニアリズム / 中国残留日本人 / デイアスポラ / 義務教育 / ディアスポラ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後日本の夜間中学が、ポスト・コロニアルの日本の義務教育において、またアジア諸地域に開かれた公共圏として果たしてきた歴史・社会的意義を解明し、その知見を学術書として出版する。また夜間中学に関する史料集を編纂・刊行し、今後の当該分野のさらなる研究発展の基盤を据える。本研究は2013年以降、応募者が収集してきた約1万5000点の史料を起点とし、さらに大規模な史料調査・インタビュー調査を実施することにより、1960年代末に途絶えた当該分野の学術研究を、ポスト・コロニアリズムの新たな歴史的視座の中で本格的に復活・発展させるものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、下記の計画を実施した。 ①申請者がこれまですでに収集・保存してきた史料、および所在を確認した史料について、教育史学、教育方法学、教育課程論、教育評価論、教育行政学、教育制度論、教育社会学等の立場から、読解・批判・分析を行った。 ②1947年から現在に至るすべての時期について、各夜間中学、夜間中学の唯一の全国組織である全国夜間中学校研究会(以下、全夜中研)、文部省(文科省)、各地の夜間中学協議会等の関係史料に関する新たな調査を実施した。具体的には、奈良県香芝市、兵庫県尼崎市・神戸市、大阪府大阪市・堺市・東大阪市、北海道札幌市・釧路市・旭川市、徳島県徳島市、高知県高知市においてオンラインを含む調査・史料所在確認・史料収集を実施した。 ③特に第1期(1947~1954年)・第2期(1955~1969年)の関連史料の収集・保存・読解を集中的に実施した。これらの史料について、本研究の目的の一つである史料集への収録の是非の観点から緻密な検討を行った。 ④原則として毎月1回、収集・保存した史料の価値評価、来歴・本源性・錯誤等を批判・検証するための定例研究会をオンラインで実施した。あわせて、本研究の目的の一つである史料集編集に向けた個人情報処理・著作権・肖像権等の諸課題も検討し、出版社との技術的な調整も実施した。 ⑤研究成果は、学会報告(3本)・学術論文(9本)・著書(2冊)等として発表し、また全夜中研大会、各地の夜間中学関係者の研修会でも教育現場に還元した。さらに、全夜中研のHP、および応募者(研究代表者)が科研(新学術領域)研究に基づいて開設したHPでも随時発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた計画のうち、①申請者がこれまですでに収集・保存してきた史料、および所在を確認した史料に関する読解・批判・分析、および②特に第1期(1947~1954年)・第2期(1955~1969年)の関連史料の集中的・緻密な検討、③原則として毎月行っている定例研究会における史料価値評価・批判、および史料集刊行に向けた個人情報・著作権・肖像権等に関する検討、そしてこれらをふまえた④研究成果(学会報告3本・学術論文9本・著書2冊)の公表という点では、当初計画を上回る進展をみた。特に研究分担者の単著は、今日の当該分野の到達点を示す業績であり、第11回東京大学南原繁記念出版賞受賞作でもある。またコロナ禍の下、オンラインを含めてではあるが、北海道・大阪府・兵庫県・奈良県・徳島県での調査・史料収集を実施し、研究上の一定の進捗をみた。ただし、やはりコロナ禍の影響で、高齢者が大きな位置を占める史料の個人所有者宅での対面調査・史料収集は当初予定に比べて遅延せざるをえなかった。そこで、「当初の計画以上に進展している」ではなく、「おおむね順調に進展している」との評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、次の方向で研究を推進する。 ①申請者がこれまで既に収集・和損してきた史料、および所在を確認した史料について、引き続き教育史学、教育方法学、教育課程論、教育評価論、教育行政学、教育制度論、教育社会学等の立場から、緻密な読解・批判・分析を継続する。 ②1947年から現在に至るすべての時期について、各夜間中学、および夜間中学の唯一の全国組織である全国夜間中学校研究会(以下、全夜中研)、文部省(文科省)、各地の夜間中学協議会や教育委員会等の関係史料、および個々の当事者(生徒・教諭等)の所蔵史料の新たな調査を継続的に実施する。特に本年度、コロナ禍のために実施できなかった史料収集調査とそれに伴う研究打ち合わせ等を追加実施する。 ③第3期(1970~1998年)の関連史料の収集・保存・読解を集中的に実施する。第3期は、夜間中学の生徒の質が、障碍者、特殊学級卒業者、外国籍または外国から新たに来住した生徒等、爆発的に多様化した時期である。そこで障碍者団体、在日韓国朝鮮人団体、中国残留日本人・移民・難民の支援団体、日本語教育団体等の諸史料の調査も実施する。 ④原則として毎月1回、収集・保存した史料の価値評価、来歴・本源性・錯誤等を批判・検証するための定例研究会をオンラインまたは対面で実施する。あわせて史料集編集に向けた検討も実施する。史料に含まれる個人情報等の取扱い、著作権・肖像権についても、各種専門家を招いた研究会を実施し、従来以上に慎重に検討する。 ⑤研究成果は、学会報告・学術論文として発表し、また全夜中研大会、各地の行政・夜間中学関係者の研修会でも教育現場に還元する。さらに全夜中研のHP、および研究代表者が科研(新学術領域)研究に基づいて作成したHP、各種マスメディア等でも引き続き随時発信する。
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