研究課題/領域番号 |
21H00844
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
仲谷 正史 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (90714965)
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研究分担者 |
橋本 有子 お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 講師 (50826972)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 触覚 / 保育学 / 子ども学 / 探索行動 / 機械学習 / 身体動作 / Body Organization / 自動定量 / 身体意識 / Body Awareness / ソマティック・エデュケーション / OpenPose |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、保育環境に設置した複数台カメラで撮像した乳幼児の視触覚を通した探索行動を観測・パターン認識し、保育環境が乳幼児にもたらす運動能力・感覚運動的知能獲得の促進性を評価可能にするマシンビジョンシステムの開発を目標とする。 この目的のために、 (1) マシンビジョンを利用した乳幼児探索行動の動画撮像システムの開発 (2) 乳幼児が示す探索行動を動画から切り出す画像認識技術の開発 (3) 乳幼児が発揮する運動能力と感覚運動的知能段階を計量する手法開発を実施する。研究成果は、①乳幼児期の子どもの行動自動解析技術②自宅で保育する養育者の精神負荷の軽減③乳幼児の保育環境開発に必要な基礎知見を提供する。
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研究実績の概要 |
2022年度の交付課題の研究実績は以下の4点である。 (1) 2021年度に実施した身体動作の計測システムを用いた身体動作の器用さを定量化する指標の探索的検討 (2) 身体動作熟達者と非熟達者の差異の検討 (3) (1), (2)に関する先行研究との比較検討
2021年度は、身体動作の基盤となりうる6種類の基本形:Body Organization (BO)のうち、3種類を利用して身体動作の計測環境構築を実施した。この計測環境と解析アルゴリズムで、身体動作の器用さを定量化する方法の開発を2022年度は取り組んだ。具体的には、20名の実験参加者を対象に、指定した5種類のテンポ音(40, 60, 80, 100, 120BPM)に対して3つのタイミングでリズミックな身体動作を発揮するように依頼し、その様子をデジタルカメラを使って動画撮影した。この3つのタイミングとして、テンポ音に対して完全同期(オンタイム)した動作、少し早い動作(早取り)、少し遅い動作(遅取り)を指定した。リズムを取る身体動作には、右手で肘の内側と外側の空間上の任意の2点を折り返す身体動作を指示した。20名の実験参加者の内、10名はダンス熟達者であった。実験データを解析した結果、オンタイムの身体動作では熟達者・非熟達者の統計的有意差は認められなかったが、遅取りの身体動作では非熟達者においてテンポ音が早くなるにつれて標準偏差が大きくなる(身体動作が不安定になりばらつく)ことがわかった。この傾向は身体動作の熟達者では認められなかった。この熟達者・非熟達者の違いは早取りの身体動作においてさらに顕著であった。この結果から、少なくとも成人において身体動作の器用さを定量化するためには、異なるテンポ音に対して、完全同期するように身体動作させるのではなく、テンポ音に対して遅取りもしくは早取り動作をさせることが効果的であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度の交付課題は月1回のペースで共同研究者の橋本博士と研究ミーティングを行い、研究を進めた。特に、身体動作をキャプチャーしたデータから身体動作の器用さを定量化する研究を進めた。この研究成果物は、2023年7月10-13日の日程で開催される世界触覚学会(デルフト工科大学、オランダ王国)でFull paperとして採択され、現地にて口頭発表を実施する予定である。これに加えて、すでに市販されている乳幼児見守りカメラシステムであるCuboAiを利用しながら、既存研究でが撮像した映像の自動シーン分割と判別については実現できているものの、乳幼児の発達状態の自動推定までは至っていないことがわかった。この点が本研究の新規性の核であることから、引き続き研究を進め、3年間の助成期間中にプロトタイプシステムの提案に至る道筋を立てる。その予備検討は十分に進んでいることから、当初の計画通り、順調に進んでいると申請者は判断する。
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今後の研究の推進方策 |
すでに学会発表を行った動作解析を利用した身体動作の器用さの定量化研究について、成人で実験参加者を集めた結果を、乳幼児に適用する検討を進めてゆく。この際、乳幼児が実施できる身体動作は発達の段階に応じて限られているため、共同研究者の橋本博士と相談を進めながら、可能な限り簡便でかつ本質的な身体動作の自動定量にこぎつけられるような手法と計測システムの構築、そして実証実験を進める。
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