研究課題
基盤研究(B)
研究代表者は、全国各地の計2万名を超える児童・生徒の身体活動、睡眠、および体格のデータを有している。また、地理環境に社会環境などを加え、空間情報科学的な処理を行なえる地理情報システム(GIS)に、小・中学校各学校区をポリゴン(面)データとして作成しており、各統計情報を学校区別にGISデータに付与できるシステムを完成している。本研究は、小児の身体活動、睡眠、および体格(肥満・痩せ)に及ぼす地理環境・社会環境よる地域格差を、GISを用いて明らかにする。これらの分析は小児の健康の居住地間格差を生み出す過程について検討する資料にもなり、健康的な近隣空間の形成にも寄与する創造性を持つ研究である。
本研究は、小児の身体活動、および体格に及ぼす地理環境・社会環境よる地域格差を、地理環境に社会環境などを加え、空間情報科学的な処理を行なえる地理情報システム(Geographic Information Systems: GIS)を用いて明らかにした。その結果、小児の肥満には近隣のコンビニエンスストアの数が関連しており、公共交通機関の多さは肥満と負の関連が見られた。また、社会経済的に恵まれない地域の早生まれの思春期小児ほど、身体活動量やスポーツ活動への参加が少なかった。さらに小児への新型コロナウイルス感染症の感染リスクも、近隣の社会経済環境が関連していることが示された。
これまで、わが国では所得など社会階層に関することを尋ねることをタブー視する風潮があったが、社会経済的な階層が上位であるほど健康水準に優れることが明らかになるなど、最近では、健康格差の存在が明るみになってきた。わが国には児童・生徒の居住地に限定した学校に通学する『学校区』があり、小児の日常はほぼ近隣環境内で完遂する。したがって、小児への近隣環境の影響は成人よりも大きいものと思われる。本研究は、学校区により社会経済的な階層があり、小児の健康にも影響していることを明らかにした。本研究の成果は、小児の健康の居住地間格差を生み出す過程について検討する資料にもなり、健康的な近隣空間の形成にも寄与する。
すべて 2024 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Children
巻: 10 号: 5 ページ: 822-822
10.3390/children10050822
日本体質医学会雑誌
巻: 85 ページ: 22-27
BMC Public Health
巻: 22 号: 1 ページ: 1656-1656
10.1186/s12889-022-14052-5
発育発達研究
巻: 2022 号: 94 ページ: 17-26
10.5332/hatsuhatsu.2022.94_17
INQUIRY: The Journal of Health Care Organization, Provision, and Financing
巻: 58 ページ: 004695802110556-004695802110556
10.1177/00469580211055626