研究課題
基盤研究(B)
研究代表者は、全国各地の計2万名を超える児童・生徒の身体活動、睡眠、および体格のデータを有している。また、地理環境に社会環境などを加え、空間情報科学的な処理を行なえる地理情報システム(GIS)に、小・中学校各学校区をポリゴン(面)データとして作成しており、各統計情報を学校区別にGISデータに付与できるシステムを完成している。本研究は、小児の身体活動、睡眠、および体格(肥満・痩せ)に及ぼす地理環境・社会環境よる地域格差を、GISを用いて明らかにする。これらの分析は小児の健康の居住地間格差を生み出す過程について検討する資料にもなり、健康的な近隣空間の形成にも寄与する創造性を持つ研究である。
居住地域の社会経済的環境とCOVID-19感染リスクとの間に有意な関連があることは、すでにいくつかの研究で示されている。しかし、これらの研究のほとんどは海外で行われたものであり、COVID-19重症化リスクの低い小児を対象とした研究はほとんどない。日本では子どもの相対的貧困率が高く、当初低いと考えられていた子どものCOVID-19感染リスクがウイルスの変異に伴い低下していることから、日本の子どもを対象とした知見が求められている。このような背景から、大阪市内の公立小学校282校の「学区」を比較の単位として調査を行った。なお、大阪市内には生活保護受給率が全国平均の3倍以上の地区がいくつかある。COVID-19に感染した小学生数を目的変数、社会経済環境関連指標を説明変数とし、共変量で調整した解析の結果、大卒者が多い学区の小学生ではCOVID-19の発症率が有意に低く、負の相関が認められた。一方、卸売・小売業従事者が多い学区の小学生では、COVID-19の発生率が有意に高く、正の相関が認められた。他者との対面接触の必要性が高いその他の職業の割合および地理的剥奪指標(ADI)は、小学生におけるCOVID-19発症率と有意な関連を示さなかった。パンデミック第4波、第5波の小学生のCOVID-19罹患率には、自宅近隣に卸売業、小売業従事者が多いことが正の相関を示した。また、第2波から第5波までの中で最も罹患率が高かった第5波では、医療・福祉関連産業従事者の多い学区で正の相関がみられ、大卒者の多い学区では負の相関がみられた[IRR 0.94(0.90-0.99)]。これに加えて第2波では、宿泊・飲食業従事者が多い学区では、小学生の感染リスクが3倍近く高いことが示された 。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Children
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日本体質医学会雑誌
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発育発達研究
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