研究課題/領域番号 |
21H00888
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
氏間 和仁 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80432821)
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研究分担者 |
奥村 智人 大阪医科薬科大学, 小児高次脳機能研究所, 特別職務担当教員(講師) (00538077)
永井 伸幸 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (50369310)
大島 研介 横浜商科大学, 商学部, 講師 (80636811)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | 読み / 弱視 / 発達障害 / 評価ツール / デジタルリーディング / デジタル教科書 / 評価 / 特別支援教育 / 視覚障害教育 / 発達障害教育 / 読書 / 視覚障害 / 診断的評価 / 読書環境 |
研究開始時の研究の概要 |
読書に困難のある児童生徒の個に応じた読書環境を構築するための評価手法を確立することは,全ての人が教育のデジタル化の中で公平な学びの機会を得る上で,急務の課題である。本研究では,4段階の評価を統合した個の特性に応じたデジタル・リーディング環境評価システムをDRC(二重経路)モデルに従い構成した評価ツールの開発と評価を行う。本研究により,DR対応の個別最適化された読書環境の構築手法が確立し,学術的にDR研究の評価基盤が構築でき,実践ではデジタル教科書等の有効な活用が可能になることを目指している。
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研究実績の概要 |
本年度は,(1)読み評価用文章の標準データの追加収集,(2)健常小中高校生を対象にした読みの際の視線計測による分析,(3)健常小中学生を対象にした読書力の収集,(4)健常小中学生を対象にしたVisual Spanの計測を実施した。 (1)読み評価用文章の標準データの追加収集:小学1年から高校3年までの児童生徒71名を対象に令和3年度に作成した読み評価用文章の読み速度の測定を行い,本研究で開発を目指している読み評価ツールに実装するための標準データの収集を行った。併せて新型コロナ感染症対策のため実施困難であった宮城県での読みデータ調査についても地元の学校との間で打ち合わせを行うことができ,次年度実施する予定が立っている。 (2)健常小中高校生を対象にした読みの際の視線計測による分析:小学1年生から高校3年生までの読み中の視線データを70名分収集することができた。これらのデータから,健常の小中高校生でこれまで報告されてきた発達に伴う停留回数の減少と停留時間の短縮を確認し同データの妥当性が明らかとなった。これらのデータを対照データとして次年度実施する発達障害等の児童生徒の視線の特徴を明らかにしたい。 (3)健常小中学生を対象にした読書力の収集:小学1年生から中学3年生までの69名を対象に教研式Reading Testを実施した。読書力偏差値などをはじめ,各種の読みに関連する能力を収集することができた。このデータと読み速度データの関連を調査することで低学年は語彙力が高学年は総合力が読速度に関連していることを明らかにした。 (4)健常小中学生を対象にしたVisual Spanの計測:読みのパフォーマンス向上にはVisual Spanの大きさが関係している。Visual Spanはこれまで成人を対象に計測されてきたが,本研究では小学生から中学生のVisual Spanを計測し発達的にVisual Spanの大きさを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の大きな目的は,(1) 読み評価用文章の作成,(2) 同文章の標準データの収集,(3) 読み評価アプリの開発,(4) 発達障害等の児童生徒の読み特性の読速度・視線からの分析により,(5) 最終的に読み困難の児童生徒の困難のメカニズムの解明と,(6)それを身近に評価できるツールの開発及び(7)デジタルリーディング下での最適な支援方法の提案を支援するツール開発である。これらの中で,(1)(2)(3)はすでに完成しており,(6)(7)はすでにラボベースでは動作している状態である。(4)(5)は令和3・4年度のデータに基づいて行われる内容であるため,令和5年度に実施予定となっている。これらのことから,予定通りに遂行されているといえる。また,研究計画にはなかった,Visual Spanの計測を追加して実施していることから,新たな視点で本研究の科学的成果が期待できると考えられ,この点では想定を超えた成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,本研究の大きな目的は,(1) 読み評価用文章の作成,(2) 同文章の標準データの収集,(3) 読み評価アプリの開発,(4) 発達障害等の児童生徒の読み特性の読速度・視線からの分析により,(5) 最終的に読み困難の児童生徒の困難のメカニズムの解明と,(6)それを身近に評価できるツールの開発及び(7)デジタルリーディング下での最適な支援方法の提案を支援するツール開発である。最終年度である令和5年度は,(2)は宮城県のデータ収集を実施し信頼性の向上を図る。(4)は広島大学と大阪医科薬科大学LDセンターとで発達障害及び弱視の児童生徒の読みパフォーマンスの測定と視線の計測を行う予定である。広島大学では昨年度から月に3日,地域の小中高校生を対象に,土日を利用した実験を継続的に実施し,多くの実験参加者の協力を得ている。この業務を効率化するために,予約管理システムの利用料を計上した。また,デンバーで開かれる国際学会で研究成果を発表し,国際的な評価を受ける予定である。
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