研究課題/領域番号 |
21H00911
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
高木 哲 麻布大学, 獣医学部, 教授 (50396305)
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研究分担者 |
佐藤 礼一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (00582826)
塚本 篤士 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (00647175)
川本 恵子 麻布大学, 獣医学部, 教授 (20360977)
藤田 良治 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (40515102)
石原 章和 麻布大学, 獣医学部, 講師 (80707224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | 映像教材 / 獣医 / 臨床手技 / 教育 / 獣医学教育 / 伴侶動物 / 実験動物 / 産業動物 / 馬 / 動物実験実習 / 実技教育 / バーチャルリアリティ / コンピュータグラフィックス |
研究開始時の研究の概要 |
動物実験や獣医師の育成のためにはある程度動物の協力が必要であるが、その動物たちの苦痛やストレスは可能な限り軽減する必要がある。そこで、申請者は産業動物(牛)、伴侶動物(犬猫)、実験動物、馬などの動物を取り扱う手技に関して、従来の手法による教育方法よりもより効果的で動物の負担も少ない効果的な教育教材を開発することを目的としている。本研究によって動物に関わる幅広い人材の育成が短期間で効率的に育成できることが期待され、将来的には言語の壁を越えて実践される可能性の高いものとなることが期待される。また、教材自体の有用性の評価についても検討することも目的としている。
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研究実績の概要 |
獣医療あるいは動物の扱いではできるだけ不安や苦痛を与えないように施術者は十分に熟練したうえで速やかに処置を行えることが求められる。動物と人とは意思疎通ができないため、手技の熟練は非常に重要であるが、十分な習練の機会を確保することは困難で、臨床現場での長い訓練とトライ&エラーの繰り返しで習得するのがこれまでの慣習である。しかし、近年の動物愛護の社会的な状況を考慮すると、獣医学部生、獣医師あるいは実験動物に携わる人材の教育において倫理的側面に配慮しつつ速やかな手技の習熟機会を増加させることは社会的な使命である。そこで本研究の目的を、これまでに例のない様々な動物種の取り扱いに関する動画教材を制作することと、これらの教材による実質的な手技の習得への貢献度の評価法を確立すること、とした。 申請者のこれまでの伴侶動物(犬や猫)における映像教材による教育の実践の結果、学生の理解度の向上や心理的ストレスを軽減させる効果があることが明らかとなった(挑戦的研究萌芽 18K19256 (2018-2020年度) 視点移動可能な映像教材を用いた臨場感のある獣医臨床教育手技教育教材の開発)。そこで本研究では対象となる動物種を産業動物(主に牛)、馬、実験動物(マウスなど)に拡大し、それらの取り扱いの教育のための映像教材を制作することとした。一部はすでに撮影が完了しており、編集作業を続けている。また、伴侶動物においてはこれまでの映像教材をブラッシュアップして主体的な学びが実践できるようにコンピューターやVR技術を用いたシミュレーターを制作することとし、プラットフォームは制作済みである。このような教材制作には初期コンセプトの構築が不十分だと失敗も生じやすいので、初年度は時間をかけて教材設計をしていくこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで伴侶動物(犬や猫)で映像教材による教育を実践してきた結果、学生の理解度の向上や心理的ストレスを軽減させる効果があることが明らかとなっている。初年度の目標としてこれを参考として産業動物(牛)・馬・実験動物の映像教材を制作することとしていた。職員の急な退職が相次いだため馬の教材については先送りとして、まず実験動物について着手した。 実験動物としてまず基本的な手技としてマウスの保定・順化の映像教材を撮影することとした。この教材においては映像に加えてアニメーションを効果的に挿入し、音声データは未編集の状態であるが十分に教材として利用可能なものが完成したため、実際の実習時間においても利用し、データを収集した。その後ラットについても同様に教材を制作している。 馬については前述の理由から十分な検討ができたとは言い難い状況であったが、処置自体に関わる人数の多さや全体像の把握が重要であること、日本国内では個体価値が非常に高く、獣医師としても専門性が高いことからから360度動画が適切と判断した。機会があれば撮影することとして本学の教育関係者と撮影の段取りについて協議した。その後外部専門家の協力を得ることができ、本学の手術室において全身麻酔の導入、去勢手術のVR動画の撮影・編集を行った。 産業動物分野においては様々な映像教材の可能性について現地で打ち合わせを行い、撮影現場の確認と動物の手配に関する調整などを行った。後日実際の手技について撮影を行い、映像編集までを実施した。 伴侶動物ではこれまでの教材に追加する物の候補を挙げるまでにとどまったが、今後3Dプリンターなどを駆使して映像を中心とした教材の充実を目指す。また、麻酔のシミュレーターについては麻酔管理に特化した教材のプラットフォーム開発までを行った。
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今後の研究の推進方策 |
馬については引き続き機会があれば全身麻酔と最も簡便な手術で一般的である去勢手術について撮影を行うこととした。ただし、教材制作はできても本学の馬学教育担当教員の公募が複数回にわたって該当者なしに終わったためしばらくデータの集積は難しいことが見通される。 産業動物、実験動物の映像教材については音声を入れたりして引き続き教材のブラッシュアップを図り、アニメーション制作などを進めていく予定である。 伴侶動物についてはVR教材とシミュレータが課題として残っているが、引き続き実装に向けて調整していくこととしている。なお、VR教材は別予算で完成させることが可能であったため、今後はこちらを使用しつつ本研究でのデータもあわせて教育効果の蓄積を行う。ただし、教材を制作できる高い能力のある事業者と協力する必要があり、金額面での調整がやや難航することが予測された。麻酔シミュレーターについては項目立てやシミュレーションができるようになったたので引き続き開発を進めていく。
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