研究課題/領域番号 |
21H01003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
品岡 寛 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (40773023)
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研究分担者 |
吉見 一慶 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (10586910)
大槻 純也 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (60513877)
是常 隆 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90391953)
播木 敦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (90875783)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 動的感受率 / Quantics tensor train / 強相関電子系 / スパースモデリング / 動的平均場理論 / ワニア関数 / 数値解析接続 / 第一原理計算 / 2粒子応答 |
研究開始時の研究の概要 |
強相関物質における磁性・超伝導などの機能物性を理解し、機能物質の設計につなげるためには、未知の物質の「個性」を理論予測するための手法が必要である。近年の数値計算技術や量子多体理論の発展により、一粒子励起スペクトル (ー粒子応答) の実験データの再現が可能になってきているものの、相転移への不安定性や外場への応答を表す感受率(二粒子応答) の定量的議論は、巨大な高次元データの取り扱いにかかる数値計算コストの高さから実現に至っていない。本研究では、高次元データの次元圧縮技術を突破口として、強相関化合物の二粒子応答の第一原理計算を実現する。これにより、強相関物質の物性予測に向けた礎を築く。
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研究実績の概要 |
動的平均場理論に基づく計算を簡単に実行可能なソフトウェアDCoreを開発・公開し、ソフトウェア論文を出版した。温度グリーン関数の中間表現を用いて、動的感受率計算に不可欠なベーテ・サルペータ方程式を高精度に解く手法をウィーン工科大学のグループと共同で開発した。温度グリーン関数の中間表現の理論と応用をまとめたレビュー論文を出版した。中間表現と変分量子固有値ソルバーを組み合わせて、量子不純物問題を量子計算機で解く手法を開発した。また、動的平均場理論と第一原理計算との融合を見据えて、鉄系合金に対するワニア関数法を基にしたコヒーレントポテンシャル法の実装、ノイズの含まれる虚時間データから実周波数データを精度良く取り出す手法の開発を行った。一方、中間表現に基づく情報圧縮技術では、応答関数の虚時間依存性以外の時空依存性の圧縮は難しいという問題に対して、quantics tensor trainに基づく圧縮技術を開発し、結果をまとめたプレプリントを公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画通り、動的平均場理論に基づくソフトウェアの実装公開、ワニア関数を用いた第一原理計算技術、数値解析接続技術の開発が進んでいる。また、当初計画以上の進展として、quantics tensor trainによる時空圧縮技術を発見した。
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今後の研究の推進方策 |
開発した温度グリーン関数の中間表現に基づくベーテ・サルペータ方程式の解法は高精度であるが、低温で計算速度が低下する。特に、現実物質に対応した多軌道系の計算には計算速度が不十分である。また、バーテックス関数などの波数依存性の圧縮も、効率的な動的応答の計算に必要であることが分かってきた。そこで、応用数学で提案されている異なるデータ圧縮技術であるquantics tensor trainに基づく計算技術開発を行う。特にJuliaによる計算ライブラリを開発し、2粒子レベルの計算へ応用する。
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