研究課題/領域番号 |
21H01028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 憲昭 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30170773)
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研究分担者 |
井村 敬一郎 名古屋大学, 教養教育院, 講師 (10444374)
壁谷 典幸 東北大学, 理学研究科, 助教 (70633642)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | ボース凝縮 / エキシトン絶縁体 / フラクタル超伝導 / 準結晶 / エキシトン凝縮 / 近似結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導あるいはボース凝縮は未だに多くの物理学者を魅了している。本研究では、固体中のボース凝縮に関連した2つの未解明問題に挑む。 第1は、準結晶における超伝導(フラクタル超伝導)の解明である。物理学において対称性は極めて重要であり、例えば周期結晶であればブロッホの定理と呼ばれる土台の上に築かれたバンド理論によって金属や半導体の存在が理解される。独特の並進対称性を有する準結晶中で見いだされた唯一の超伝導体Al-Zn-Mg合金に焦点を当て、その超伝導性を解明する。 第2は、未だ固体中で見いだされたことのないエキシトン凝縮の探索である。候補物質black-SmSに焦点を当て、実現可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本研究の究極目標は、準結晶特有の電子状態(超伝導、磁性および強相関効果)の解明とblack-SmSにおけるエキシトン凝縮の実証である。準結晶に関してこれまでに得られた成果を整理し、従来の周期結晶には存在しない(未だ実証されていない)「量子臨界相」とでもいうべき状態が準結晶で発現する可能性を明らかにした。これらの成果を、英文誌 Journal of the Physical Society of Japan の Invited Review Paper に執筆した(2022年3月に脱稿し、2022年6月にオンライン版が出版)。また、価数と磁化率の同時発散/クロスオーバーを示す蔡型近似結晶を見出し、その結果を国際会議で報告した。準結晶超伝導の研究においては、当初の研究計画に従い、これまでに見いだされている超伝導近似結晶とは異なる近似度を有する超伝導近似結晶の探索を行った。その結果、1/1近似結晶と2/1近似結晶の中間の近似度を有する超伝導近似結晶(Al-Zn-Mg 2/1-1/1-1/1)を発見し、国際会議で報告した。残念ながら、試料全体が超伝導状態になるには至らなかったため、良質試料の作成が課題として残された。black-SmSにおけるエキシトン凝縮の実証研究においては、本研究で見出していた低温相転移が「エキシトン凝縮状態においては低温で自発的対称性の破れが発現する」との理論研究の結果と関係づけられることを見出した。理論研究者との(Zoomを通したオンライン)討論により、black-SmSのエキシトン凝縮の実証にさらに一歩近づいたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準結晶の電子状態の解明のためには、超伝導状態だけでなく、常伝導状態における強相関効果等の理解が必要である。そのために進めてきた「準結晶における強相関効果および磁性」に関するレビュー論文の執筆を終え(2021年度3月)、2022年6月にはオンライン上で公開が為された。公開後2か月の間に1000を超えるダウンロードが為され、期待通りの成果が得られた。準結晶における電気伝導解明に関しては、低温で半導体的様相(可変領域ホッピング伝導)を示す近似結晶を発見し、現在、同様の温度依存性を示すAl-Pd-Re準結晶との比較研究を行っている。これらをまとめることにより、準結晶および近似結晶における金属-絶縁体相転移に関する議論を行うことができると期待している。準結晶超伝導(フラクタル超伝導)に関しては、新しい超伝導近似結晶の発見に至ったが、超伝導性はバルクの性質とまでは言えず、さらなる試料の純良化が必要である。black-SmSにおいては、理論研究との比較研究により、エキシトン凝縮の実証に大きく近づいたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
準結晶に関しては次の2点が課題として残されている。(1)超伝導近似結晶試料の純良化を進め、(2)手持ちの試料を用いた「常伝導状態における電気伝導性と(準結晶に対する)近似結晶の近似度の関係を明らかにする」ことである。エキシトン凝縮に関しては、black-SmSにおける実験結果と理論研究の結果との比較研究を深化させることが課題として残されている。2021年度は(新型コロナの影響により)Zoomを用いた議論に留まり、深い議論を行うには至らなかったので、次年度以降は、対面での詳細な議論を行い、共同研究の形にまで発展させていきたい。
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