研究課題/領域番号 |
21H01105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
市村 晃一 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 助教 (80600064)
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研究分担者 |
坂口 綾 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00526254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
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キーワード | 極低放射能 / 放射線計測 / 微量元素分析 / 濃縮法 / ICP-MS |
研究開始時の研究の概要 |
ニュートリノの出ない2重ベータ崩壊事象などの極稀事象探索において、検出器の極低放射能化は探索感度の向上に非常に重要な要素である。本研究では次世代KamLAND2-Zen実験で用いる予定の有機材料中の放射性不純物量分析について、徹底したクリーン環境の整備と灰化による濃縮法の導入、ICP-MSや高純度ゲルマニウム検出器の測定感度向上を行い、世界トップレベルの高感度で放射性不純物量を測定する手法の確立を目的とする。確立した手法を用いることで検出器部材のスクリーニングを遂行し、放射性不純物起源の雑音事象を低減しKamLAND2-Zen実験のニュートリノの出ない2重ベータ崩壊事象探索感度を向上させる。
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研究実績の概要 |
本年度は2021年度に確立したマイクロ波灰化装置とICP-MSを組み合わせた有機物中放射性不純物量測定に関して、試料を作成するためのビーカーなどの洗浄方法の改善を行い、環境起源のバックグラウンドの影響は1pptのレベルの測定を行う上では問題にならないことを確認した。また、ウラントリウムを吸着するUTEVA樹脂を用いた高感度化のための実験を行い、樹脂の洗浄方法を確立した。 発光性フィルムの測定についてあらかじめ既知の不純物量が含まれた測定試料を作成し、灰化から測定までの間で不純物量が散逸していないことも確認した。一方メーカーによっては溶液化の際に溶け残りがあることが判明し、フィルム製造時の添加物に由来することが判明した。添加物を含まない原材料の測定ではウラントリウム量はKamLAND2-Zen実験で要求されるレベルの不純物量であることも確認した。 昨年度に有意な不純物量が確認された波長変換剤について波長変換剤を有機溶剤に溶かした溶液と超純水などの液-液抽出による純化を試み、再現性と最適な純化方法の確立については来年度以降に研究が必要ではあるがウラントリウム量が低減することを確認した。また純化前後での発光量、発光スペクトル、ガスクロマトグラフィー測定の結果性能に変化が無いことを確認した。ゲルマニウム検出器を用いた不純物量評価についても波長変換剤、発光性フィルムの原材料について行い、両者とも測定試料由来の有意なガンマ線は検出されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した樹脂を用いた濃縮法についての予備実験を行い、洗浄方法を確立することで樹脂に含まれているウラントリウム量を低減することを達成した。またクリーン環境の整備、高純度測定のための器具の洗浄方法も確立したためおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ICP-MSでの測定について、特に純化前後の波長変換剤中の放射性不純物量の評価を中心に推進する。再現性があり、最も不純物量を低減する純化手法の確立を目指す。並行し、発光性フィルム測定については樹脂を用いた化学分離を測定に組み込み高感度測定可能であることを実証する。 ゲルマニウム検出器での測定では従来の10倍量程度にあたる100グラム相当の波長変換剤の測定を行い高感度測定を行う。
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