研究課題/領域番号 |
21H01138
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
|
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
石川 遼子 国立天文台, 太陽観測科学プロジェクト, 准教授 (00709636)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
|
キーワード | 太陽物理 / 天文学 / 磁気流体プラズマ / 紫外線 / 偏光 |
研究開始時の研究の概要 |
光球とコロナをつなぐ磁束管は、光球の運動エネルギーをコロナへ伝える重要な役割を果たしているが、その中間にある彩層やより上での磁場観測は圧倒的に不足している。本研究では、紫外線の偏光分光観測により、彩層底部~最上部の磁場測定を可能にするロケット実験CLASP2.1を実施する。CLASP2.1飛翔中、光球磁場を測定するひので衛星との同時スリットスキャン観測により、光球から彩層上部までの磁場の3次元構造を明らかにする。そして、コロナへのエネルギー伝搬を担う磁束管が、光球からコロナ直下の彩層上部まで、どのように広がっているのか?その3次元構造が大気の加熱や動的現象にどのように寄与しているのか?を探る。
|
研究実績の概要 |
6000度の太陽表面(光球)と100万度のコロナをつなぐ磁束管は、光球の運動エネルギーをコロナへ伝える重要な役割を果たしている。しかし、その中間にある彩層やより上空の大気層での磁場観測は圧倒的に不足している。そこで我々は、2019年4月に観測ロケット実験CLASP2を実施し、電離マグネシウム線(彩層中~上部から放射)、その近傍にあるマンガン線(彩層下部)を含む紫外線の高精度偏光分光観測に成功した。本研究では、このCLASP2を発展させた観測ロケット実験CLASP2.1を行い、光球からコロナ直下(彩層最上部)までの磁場の3次元構造を明らかにすることを目的としている。本ロケット実験で用いる観測装置は、我々日本の研究機関が米国、フランスと協力して開発を行ったものである。 2ヶ月に及ぶ米国ホワイトサンズミサイル実験場(WSMR)での試験を経て、2021年10月、CLASP2.1は無事打ち上げられた。観測装置、ロケット、全て完璧に動作し、活動領域のスキャン観測に成功した。光球磁場の観測を行うひので衛星との共同観測にも成功しており、科学目標を達成するための良質な観測データを取得することができた。データ取得後は、米国チームと協力して、データ較正に着手した。特に、観測装置で生じる装置偏光を補正し太陽からの真の偏光スペクトルを得るための偏光較正が重要となるが、それには、我々が国立天文台の試験で得た偏光較正用データと確立した手法(Song et al. 2022)を適用した。一連の作業により、科学データ解析の準備を整えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍かつ海外での実験というかなり困難な状況ではあったが、予定通り打ち上げを成功させ、良質な科学データを取得できた。また、その後のデータ較正作業も、これまでの知見を活かして順調に進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
観測ロケット実験CLASP2.1の理論的解釈を担っているスペインの共同研究者らと協力して、得られた偏光スペクトルから磁場を導出する。その際には、すでに確立した、弱磁場近似の手法(Ishikawa et al. 2021)を適用する。本手法は、簡便ではあるが信頼性が高く、彩層上・中・底部の視線方向磁場を確実に求めることができる。さらに、スペインチームが開発を進めるインバージョンコードが実用段階に至っているようであれば、それを用いてより複雑な視線方向磁場構造の解明、直線偏光も用いたベクトル磁場の導出に取り組む。 また、CLASP2.1に搭載されているスリットモニター撮像装置でも偏光を検出できたと期待され、そちらの解析にも取り組んでいく。
|