研究課題/領域番号 |
21H01140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅彦 東京大学, 大気海洋研究所, 海洋科学特定共同研究員 (50723277)
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研究分担者 |
長谷川 直 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究開発員 (10399553)
高橋 太 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20467012)
黒澤 耕介 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (80616433)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
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キーワード | 衝突残留磁化 / 惑星磁場 / 磁気測定 / 衝突実験 / 惑星探査 |
研究開始時の研究の概要 |
惑星磁場は惑星中心の液体金属核が対流する事により生成・維持されており,また,表層環境・生命居住環境は惑星磁場の強度変化に伴って劇的に変化する.従って,惑星磁場強度進化の解明は,惑星・生命進化研究において必要不可欠である.本研究では,衝突残留磁化を用いた新手法により,地球型惑星の形成初期における磁場強度の変遷を明らかにする.そのために,衝突現象に伴う岩石の磁場記録獲得モデルを実験に基づいて構築し,そのモデルを使って,人工衛星によって地球型惑星の衝突盆地上空で観測された衝突残留磁化の記録を読み解く事で,地球型惑星の磁場強度進化を明らかにし,惑星・生命進化に関する議論を行う.
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研究実績の概要 |
本研究では、実験により衝突残留磁化強度分布モデルを構築し、そのモデルを使って、地球型惑星の衝突盆地上空で人工衛星により観測された惑星磁場強度記録を読み解き、地球型惑星の磁場強度進化を復元する。そのために研究期間内に、(1)衝突残留磁化着磁実験、(2)衝突実験試料の残留磁化分布測定、(3)衝突磁化強度分布モデルの作成、(4)衝突盆地上空での人工衛星による磁場観測データ取得・解析、を実施する。そして項目3と4の成果を合わせて、(5)衝突イベント時の古惑星磁場強度を復元する、という研究計画である。2022年度までの研究において、以下の成果が得られている。(1)細粒なチタン磁鉄鉱を含む玄武岩試料を用いて衝突磁化着磁実験および回収試料の細分化・残留磁化測定を行い、衝突残留磁化の残留磁化強度および残留磁化安定性を衝突点からの距離に応じて評価することが可能となった。さらに、衝突計算コードを用いて衝突実験時に玄武岩試料が経験した温度・圧力変化を計算して磁気測定の結果と比較する事で、衝突残留磁化と温度・圧力変化の対応関係を調べる手法の確立に成功した(Sato et al. 2021)。(2)磁場および弾丸条件を系統的に変化させて衝突磁化着磁実験を行い、残留磁化測定および衝突計算を実施する事で、衝突磁化強度を衝撃波伝搬時の温度変化・圧力変化と外部磁場強度の関数として表現する事に成功した(Sato et al.投稿中)。(3)衝突磁化強度の経験式を用いて、惑星地殻への衝突イベント時の地殻残留磁化分布およびその磁気異常分布を計算するコードの開発を行なった。(4)人工衛星による磁場観測データとして、月(かぐや、LP)、火星(MGS、MAVEN)、水星(MESSENGER)の磁場観測データを解析用に取得し、クレーター周辺での衝突残留磁化の痕跡を検討するための解析環境を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では事業期間中において、(1)衝突残留磁化着磁実験、(2)衝突実験試料の残留磁化分布測定、(3)衝突磁化強度分布モデルの作成、(4)衝突盆地上空での人工衛星による磁場観測データ取得・解析、(5)衝突イベント時の古惑星磁場強度を復元、の実施を計画している。2022年度までの研究において、細粒なチタン磁鉄鉱を含む玄武岩試料を用いて項目1から3を実施した。また項目4に必要となる磁場観測データの取得および解析環境の構築も実施済みである。項目4に必要となる衝突イベント時の地殻残留磁化分布およびその磁気異常分布を計算するコードの開発も進めており、残りの事業期間中において項目4を実施し、それらに基づいて項目5の実施が十分に可能な進捗状況にあると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、衝突残留磁化を用いた新手法により、地球型惑星の形成初期における磁場強度の変遷を明らかにする。そのために、(1)衝突残留磁化着磁実験、(2)衝突実験試料の残留磁化分布測定、(3)衝突磁化強度分布モデルの作成、(4)衝突盆地上空での人工衛星による磁場観測データ取得・解析、(5)衝 突イベント時の古惑星磁場強度を復元、を実施する。これまでの進捗に基づき2023年度以降は以下を実施する予定である。(A)細粒チタン磁鉄鉱を含む玄武岩試料および異なる強磁性鉱物を含む試料を用いて追加実験を行い、得られた実験データの詳細な解析を行う事で、上記項目3の衝突磁化強度分布モデルの高度化を進める。(B)作成した衝突磁化強度分布の経験式を用いて、衝突イベント時の地殻残留磁化分布およびその磁気異常分布をフォワード計算するコードを構築し、月・火星・水星などの地球型惑星の磁場観測から得られている磁気異常データと比較・検討する事で衝突残留磁化の痕跡を探し、当該の衝突盆地が形成した当時の惑星磁場強度を推定する事で衝突盆地形成時の惑星磁場強度の復元を行う.
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