研究課題/領域番号 |
21H01145
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下西 隆 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80725599)
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研究分担者 |
田中 圭 東京工業大学, 理学院, 助教 (20634455)
古家 健次 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (80783711)
ZHANG YICHEN 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (50791943)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 星間化学 / 金属量 / 星間分子 / マゼラン雲 / 星形成 / 原始星 / アルマ / アストロケミストリー / ALMA |
研究開始時の研究の概要 |
過去の銀河系の始原的な環境における星間物質の化学進化を理解する上で鍵となる銀河の金属量と星間化学の関連性に焦点を当てた研究を行う。このために、アルマ望遠鏡による大小マゼラン雲内の原始星の最新の大規模観測データと星間化学モデル計算を組み合わせ、包括的な視点から星間化学の金属量依存性の解明に挑む。
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研究実績の概要 |
本研究は過去の宇宙の低金属量環境下における物質進化を理解する上で鍵となる銀河の金属量と星間分子化学の関連性に焦点を当てた研究を行なっている。本年度はまず、アルマ望遠鏡により行われた大小マゼラン雲内の40天体の大質量原始星に対する分子輝線観測データの解析を行った。前年度に集中的な解析を行なった小マゼラン雲の原始星サンプルのアルマデータに基づき、世界初となる小マゼラン雲におけるホットコア(化学的に豊かな高温の分子ガスが付随する原始星)の検出を査読付論文として国際学術誌に発表した。続いて、残る大マゼラン雲の原始星サンプルのアルマデータの解析を進め、天体に付随する分子ガスの物理・化学状態を明らかにした。結果として大マゼラン雲内に新たなホットコア天体を複数発見し、結果は現在論文として発表する準備を進めている。また、本年度から新たに雇用した研究員と協力し、大マゼラン雲のホットコアサンプルの中でも特に有機分子が欠乏した特異な化学組成を示す天体に対するアルマ望遠鏡を用いたサブミリ波域のスペクトルラインサーベイのデータ解析を進めた。結果として、高温の無機分子が支配的な組成を示す当該天体の特徴が明らかになり、太陽系近傍の通常の金属量環境には見られないユニークな化学的性質を持つ天体であることが示唆された。得られた結果は現在論文として発表する準備を進めている。以上の研究に加えて、本年度は研究分担者・研究協力者らと連携し、大マゼラン雲の原始星アウトフローの観測研究、大マゼラン雲の原始星に付随するフィラメント構造の観測研究、星形成領域に見られる硫黄系分子・リン系分子の観測研究、JWSTを用いた分子雲コアにおける星間氷の観測研究も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始初年度に生じたパンデミックの影響による研究の遅れを取り戻すべく、研究計画を策定し直した。当初の予定から一年度分延長する計画となったものの、本年度からは研究員の雇用を開始し、新たに策定した研究計画はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では、アルマ望遠鏡による大小マゼラン雲の大質量原始星の大規模観測データの中から、大マゼラン雲の天体に焦点を当てて解析を進めた。上述の研究実績の概要の欄で述べた通りの新たな興味深い結果が得られており、これらの論文化が急務である。また、今年度はこれまでに発見された低金属量ホットコア天体に対するアルマ望遠鏡を用いた高空間分解能フォローアップ観測が実施された。得られたデータは、天体ごとの化学組成の多様性を理解する上で重要な情報を含んでおり、本年度中に解析を進めていく。同時に、低金属量星形成コアの化学進化に関する計算研究も、分担者および研究協力者と連携して進めていく。アルマ望遠鏡やJWSTを用いた発展的な観測計画の立案も積極的に行う。
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