研究課題/領域番号 |
21H01152
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
田中 良昌 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (50425766)
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研究分担者 |
小川 泰信 国立極地研究所, 共同研究推進系, 教授 (00362210)
門倉 昭 国立極地研究所, 先端研究推進系, 教授 (70185883)
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
津田 卓雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90444421)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | トモグラフィ / オーロラ / EISCAT / 3次元電流系 / 磁気圏電離圏結合 |
研究開始時の研究の概要 |
スカンジナビア半島北部において、2022年冬季に観測を開始予定の世界最大・最高性能の電離圏レーダー「EISCAT_3D」と、多点カメラネットワークによるオーロラ同時観測を実施する。取得した電波・光学観測データに最先端の「一般化オーロラトモグラフィ逆問題解析手法」を応用して電離圏の電気伝導度、電場の3次元構造を復元し、最終的に3次元電流回路の導出を目指す。この新しい3D観測・解析により、オーロラ電子降り込みがもたらす電離圏の電気伝導度、電場、電流の3次元構造の変動がどのように磁気圏にフィードバックし、磁気圏プラズマ対流、延いては、オーロラ自身の時空間発展を引き起こすのかを初めて観測的に示せる可能性がある。
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研究実績の概要 |
・これまでに開発してきた一般化オーロラトモグラフィ解析ツールを精査し、今後、複数波長のオーロラ画像及びEISCAT_3Dレーダーデータに適用できるようにするために、ツールの改良について検討、設計を行った。既存の解析ツールは、波長427.8nmのオーロラ画像のみに対応しており、複数の波長のオーロラ画像を利用することができなかった。そこで、557.7、844.6nm等の複数波長の画像を同時に利用できるようにプログラムを改良した。入射電子のエネルギーフラックスからこれら複数波長のオーロラ発光強度を計算するモデルについては、いくつかの既存のモデルから選択可能とした。さらに、これまでC言語で書かれたプログラムを、よりユーザが利用・改良し易いMATLABに移植した。 ・コロナ禍の影響により海外出張ができなかったため、2021年冬季はノルウェー・シーボトンでの光学観測を断念した。ただし、ノルウェー・トロムソ、スウェーデン・アビスコ、フィンランド・キルピスヤルビ等に設置されているWatecイメージャやEMCCDイメージャは稼働しており、これらの装置で得られたデータはオーロラトモグラフィ解析に利用可能である。 ・2022年2月24-27日に、一般化オーロラトモグラフィ研究を目的としたEISCATレーダー特別実験を実施した。残念ながら、この期間は悪天候または静穏なオーロラ活動であったため、本研究に利用可能な新たな観測データを取得することができなかった。そのため、2018年2月18日に観測されたパッチ状脈動オーロラのトモグラフィ解析を行った。 ・改良した解析ツールを使って、世界で初めてパッチ状脈動オーロラの3次元構造、及び、降下電子エネルギーフラックスの復元に成功した。得られた解析結果をEISCATレーダーで同時観測された電子密度の高度プロファイルと比較し、よく一致することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・当初の計画通り、一般化オーロラトモグラフィ解析ツールの改良を進め、複数波長のオーロラ画像に適用することが可能となった。さらに、今後、ユーザが解析ツールを利用・改良し易くなるようにC言語からMATLABへのプログラムの移植を行った。 ・コロナ禍の影響により海外出張することができなかったため、計画していたノルウェーのシーボトンでの光学観測を2021年冬季に実施することはできなかった。また、一般化オーロラトモグラフィ研究を目的としたEISCATレーダー特別実験については、フィンランド、スウェーデンの共同研究者に依頼することにより、2022年2月24~27日の期間に予定通り実施したが、残念ながら、悪天候または静穏なオーロラ活動のため、本研究に利用可能な観測データを取得できなかった。そこで、2018年2月18日にノルウェーのシーボトン、スウェーデンのアビスコ、フィンランドのキルピスヤルビの3地点で同時観測されたパッチ状脈動オーロラについて、一般化オーロラトモグラフィ解析を行った。改良した解析ツールを使うことにより、世界で初めてパッチ状脈動オーロラの3次元構造の復元に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
・2021年度には、コロナ禍の影響でノルウェー・シーボトンにおける多波長イメージャによる光学観測ができなかったが、2022年以降、改めて光学観測を行う。得られたデータを分野標準フォーマットであるCommon Data Format(CDF)に変換して公開し、容易にデータ解析できる環境を整備する。また、一般化オーロラトモグラフィ研究を目的としたEISCAT_3Dレーダー特別実験を実施する。 ・現在、解析を進めているパッチ状脈動オーロラの3次元構造の再構成結果について、国内外の学会、研究集会で発表し、論文にまとめる。 ・2022年度に新たに研究員を雇用することにより、解析ツールの更なる改良、MATLABへの移植を進めると共に、改良した解析ツールを活用して、複数の波長のオーロラ画像を用いたトモグラフィ解析を実施する。さらに、得られたオーロラの3次元構造から電離圏電気伝導度の3次元構造を導出し、EISCAT_3Dレーダーで観測される電離圏電場3次元分布と組み合わせて3次元電流系を求める手法を確立する。
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