研究課題/領域番号 |
21H01161
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
塩竈 秀夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (30391113)
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研究分担者 |
廣田 渚郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (30750616)
渡部 雅浩 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70344497)
金 炯俊 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (70635218)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 気候変動 |
研究開始時の研究の概要 |
まずCMIP5とCMIP6のモデル実験データに基づいて、降水量の将来予測と良い相関をもつEC指標の候補を探す。しかしそのような候補が見つかったとしても、必ずしも予測不確実性の低減につながるとは限らない。不確実性低減に使うためには、予測とEC指標に相関が生じる物理的なメカニズムを明らかにする必要がある。またEC指標と比較可能な観測データが無かったり、または観測データの不確実性が大きすぎる場合にも、予測の不確実性を低減することはできない。これら条件を満たすEC指標を探し、相関をもたらすメカニズムを明らかにし、観測データの不確実性要因を考えながら、降水予測の不確実性を低減することを目指す。
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研究実績の概要 |
世界平均気温が将来何度上昇するかの予測には気候モデル間でばらつきがあり、その不確実性を低減するための研究がこれまで数多く行われ、成果を上げてきた。一方、世界平均降水量変化予測の不確実性に関しては、これまで誰もその不確実性を低減することが出来ていなかった。初年度に、我々は、67の気候モデルによる気温と降水量のシミュレーションデータを観測データと比較することで、降水量変化予測の不確実性を低減することに世界で初めて成功した。その成果はNature誌に掲載された。 2年度目には、同じ解析テクニックを応用し、影響エミュレータという統計的な影響評価ツールを利用することで、将来の気候変動による経済影響の不確実性を低減できることを示した。気候変動の将来予測には気候モデル間で不確実性があり、それが経済影響(被害額が国内総生産(GDP)の何%に相当するか)の評価にも不確実性をもたらす。我々は、観測データと比較して近年の世界平均気温トレンドが大きすぎる気候モデルの予測データを用いた経済影響評価は過大であることを示し、21世紀末の経済影響評価の不確実性幅の上限を2.9%から2.5%へと引き下げ、分散を31%削減した。これは、気候変動予測の分野で開発された最新の不確実性低減手法を経済影響評価の分野に世界で初めて応用した研究成果であり、今後、気候変動の予測と影響評価の分野をまたいだ総合的な知見を得るために必要な道筋を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度に、世界平均降水量の不確実性を制約することに成功し、その成果はNature誌に掲載された。2年度目には、同じ解析テクニックを応用することで、将来の気候変動による経済影響の不確実性を低減できることを示し、元々の計画に無かった成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
将来の観測データの蓄積による不確実性制約に関して議論する。
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