研究課題/領域番号 |
21H01184
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
清水 健二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30420491)
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研究分担者 |
羽生 毅 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), グループリーダー (50359197)
栗谷 豪 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80397900)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | メルト包有物 / SIMS / 水素同位体比 / 地球の水の起源 / 火山ガラス / 地球の水 / アイスランド / ハワイ |
研究開始時の研究の概要 |
地球の水の起源は隕石、彗星、原始太陽系ガスなどが候補に挙がるが、どれも確証はない。というのは、初期地球マントルの含水量や水素同位体比は不確定だからである。これまでの研究では扱う火山岩試料や手法で結果は大きく異なり、変質の評価も十分ではなく初生的な情報を示しているのか検証が必要である。本研究ではヘリウム3に富み地球形成初期にトラップされたガス成分を含むとされるハワイ及びアイスランドの火山岩を研究対象とし、火山ガラスとメルト包有物の水素同位体比などの化学組成データを二次イオン質量分析計(SIMS)などの局所分析で揃え、初生的な情報を抜き出す。始原マントルの含水量と水素同位体比を見積もる。
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研究実績の概要 |
地球の水は生命を育み、プレートテクトニクスが駆動されるなど地球特有の環境に欠かせない。本研究では、地球形成初期においてマントル中に保持されている水の水素同位体比を求め、「地球の水はどこから来たものか」という問いに対して制約する。本研究ではヘリウム3/4比が高い地球形成初期にトラップされたガス成分を含むとされるハワイ諸島及びアイスランドの火山岩から研究に最適な試料を選定し、ガラスやメルト包有物の揮発性成分量(水、二酸化炭素、フッ素、塩素、硫黄)や水素・硫黄同位体比を2次イオン質量分析計(SIMS)で分析する。得られたデータを解析し、始原マントルの含水量と水素同位体分析比を見積り、地球内部の水の起源と振る舞いに束縛条件を与えることを目的とする。 令和4年度は実施したアイスランド調査の試料の記載と分析準備を行った。分析準備を効率化するため、池上精機製の超精密研磨機を購入した。これによって熟練度が必要で気を使う鉱物中のメルト包有物の露出研磨をほぼ自動でできるようになり、試料準備が短時間に簡便にできるようになった。昨年度アップグレードしたフーリエ変換赤外分光計(FTIR)と2次イオン質量分析計(SIMS)で様々な組成の火山ガラスの含水量を測定し、SIMSでの含水量測定におけるマトリックス効果、補正法の主著論文を公表した。この論文を含め、令和4年度の本研究に関わる研究業績として、4編の学術論文を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は夏に実施したアイスランド調査準備と採取した火山岩試料の薄片観察と蛍光X線分析法(XRF)での全岩化学分析を含む一次記載を行った。記載により、かんらん石の斑晶が大きく、急冷した高MgO火山岩を選定した。これらの火山岩を粉砕し、鉱物の分離を始めている。 一方でSIMSを用いた火山ガラス中の含水量分析における組成依存の影響(マトリックス効果)を調べるため、昨年度アップグレードしたFTIRを用いて様々な組成の火山ガラスの含水量を測定し、同じ試料をSIMSで測定した。その結果、火山ガラス中の含水量分析におけるマトリックス効果は石英ガラスからフォイダイトという珪酸塩濃度が40wt%程度の超アルカリ火山岩まで、経験則での補正が可能であることを明らかとなり、論文を公表した。本論文によってあらゆる組成の火山岩の含水量を精度良く決められるようになったとともにSIMS分析におけるマトリックス効果を解く糸口となることが期待される。科研費課題で扱うアイスランドとハワイの火山岩のようなアルカリ岩や玄武岩の含水量決定に早速、適用し、より正確な含水量を求めた。本研究はほぼ予定通りに進み、分析試料の効率的な準備も可能となり、最終年度に向けて準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は本科研費の最終年度であり、採取してきたアイスランドの火山岩を引き続き分析・記載する予定である。分離した鉱物と火山ガラス片のヘリウム同位体比をJAMSTEC横須賀本部既設の希ガス同位体質量分析計(MM5400)で分析し、ヘリウム3/4比の高い試料を選定する。選定した火山ガラスや分離した鉱物のメルト包有物の局所分析するための前処理を行う。揮発性成分濃度と水素・硫黄同位体分析の分析をJAMSTEC高知コア研究所既設のSIMS(IMS-1280HR)で行う。その後、主要・微量元素濃度の分析をそれぞれ高知コア研究所のEPMA(電子線マイクロ分析計)と横須賀本部のLA-ICP-MS(レーザーアブレーションICP質量分析計)を用いてデータセットを揃える。 ハワイの火山岩試料のデータを含む揃えた全てのデータを用いて解析し初生的な情報を抜き出す。まず、研究代表者らが見出した水とフッ素の関係を用いて、測定したメルト包有物と火山ガラスが、上部-深部マントルトレンド付近にプロットされるか検証する。トレンドより水に枯渇する方にプロットされるものは、脱ガスの影響があるもの、もしくはリサイクル物質の関与があるものであることが推察でき、トレンドより水に富む方にプロットされるものは、海水や天水の混染、沈み込み物質の関与が疑われる。さらに塩素濃度や硫黄同位体比を加えると2次的な変質の影響など明確に区別できるようになる。これらの関係から始原マントルの含水量と水素同位体比を見積もり、研究成果を論文にまとめる。
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