研究課題/領域番号 |
21H01202
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
野牧 秀隆 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 上席研究員 (90435834)
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研究分担者 |
HUSNIK Filip 沖縄科学技術大学院大学, 進化・細胞・共生の生物学ユニット, 准教授 (30886130)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 単細胞真核生物 / 機能分化 / 真核単細胞生物 / 細胞内機能分化 / 細胞小器官 / 遺伝子発現解析 / シングルセルゲノミクス / 細胞構造 |
研究開始時の研究の概要 |
単細胞でありながら細胞の大きい底生有孔虫の多くの種は、細胞質が複数の房室内にまたがって存在し、房室ごとに区切られ細胞間で、細胞小器官の分布に大きな偏りがみられる。これは、有孔虫は単細胞でありながらも房室ごとに細胞質を区切り、細胞機能を分化させ、大きな細胞内の特定の範囲内で効率的な代謝や物質貯蔵をしている可能性を示す。 この仮説を検証するため、房室ごとの細胞小器官の分布を定量的に示し、房室ごとの機能を推定する。さらに、房室ごとのトランスクリプトーム解析を行い、細胞小器官分布から推測される機能分化を遺伝子発現レベルで検証する。
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研究成果の概要 |
単細胞でありながら細胞が最大で10cm以上にもなる底生有孔虫が、細胞を格納する房室ごとに異なる機能を持たせた「疑似的な」多細胞化を行っているのではないかという仮説のもと、超微細構造解析、細胞内元素マッピング、細胞を区分した遺伝子発現解析を行った。細胞の部位ごとに細胞小器官の分布は大きく異なり、エネルギー貯蔵に特化した場所、微生物との共生に特化した場所、餌の消化に特化した場所、など、が見られ、それに伴った元素分布も確認された。これらの場所ごとに発現している遺伝子が異なることも確認され、単細胞生物が細胞内の機能分化を行うことで多様な代謝機能を持ちうることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物の進化は、「単純な単細胞生物が誕生し、それらが共生して真核生物になり、やがて多細胞になり、大型化、複雑化し、現在の動物や植物になった」というストーリーがよく知られている。本研究の成果から、有孔虫などの生物は「単細胞生物が多細胞化することなく独自の異なるメカニズムにより機能分化、大型化したことで、海洋の様々な環境で繁栄している」ことが明らかになり、生物の進化、適応がこれまで以上に複雑かつ謎に満ちたストーリーであることを示している。
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