研究課題/領域番号 |
21H01216
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
橋村 真治 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90290824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | 高速打鋲 / 機械接合 / マルチマテリアル / 接合強度 / リサイクル / 機械的接合 / 打鋲 / 締結力 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の二酸化炭素削減に伴う燃費改善要求に伴い,輸送機器では構造部材の軽量化のためにマルチマテリアル化が進められ,自動車をはじめとした輸送機器や家電においても,異種材料の高強度・高効率接合法が求められている.近年様々な優れた材料が開発されているが,それらを組立てるため接合技術がなければ,優れた機械や構造物は生まれない. 本研究では,マルチマテリアルの高速・高強度接合を可能にする高速打鋲技術を開発する.本研究では,らせん溝を有する鋲の高速に回転させながら打鋲することで,接合部材に締結力(締付け軸力)を生じさせると同時に,リサイクル性を飛躍的に向上した高速打鋲を実現する.
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研究実績の概要 |
本研究では,リサイカブル高速打鋲接合技術の確立を目的として,以下の2項目について3年間の研究を実施する. 1. 鋲の速度やらせん鋲の先端形状,接合部材の材料特性や剛性が,打鋲時の接合部材の塑性変形や接合強度に及ぼす影響を明らかにする. 2. ブラシレスモータの原理によりらせん鋲を高速回転させて打鋲する新たな高速打鋲法を提案する. 上記目的達成のため,令和4年度は,初年度の未達成課題である「打鋲シミュレーションの実施」と「被接合部材の変形メカニズムの解明」を実施し,「ブラシレスモータの原理による鋲への高速回転付与装置」の製作等を行った. 打鋲シミュレーションについては,昨年度に残された課題であった被接合部材の材料定数設定については本年度解決し,打鋲時の鋲の挙動をシミュレートすることができた.今後,この打鋲シミュレーションを活用して,鋲形状と貫通時の抵抗力等との関係を調査する.一方で,鋲貫通時の挙動が,一部実際とは異なった.この問題については,現在解決策を検討中である.被接合部材の変形メカニズムの解明については,疲労試験に取り付ける実験装置の構造を見直して,鋲を回転させながら準静的打鋲試験を実施した.この実験の結果,鋲に設けたらせん溝と,鋲に与える回転速度との関係を明らかにすることができた.また鋲の最適な先端角についても,鋲や被接合部材の変形と接合強度の面から評価することができた.ここで得られた結果は,今後シミュレーション結果と比較していく. ブラシレスモータの原理による鋲への高速回転の付与については,回転付与装置の製作を完了し,打鋲前の回転試験までは行えているが,実際の打鋲試験まで行えていない.また,当初予定の回転トルクを鋲に与えるためには,モータ出力を見直す必要があることが明らかになった.そのため,モータの見直しと別の方法による高トルク付与について,現在検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の状況として,「らせん鋲による打鋲シミュレーション」や「ブラシレスモータの原理による鋲への高速回転の付与」において,幾つかの問題は残っているものの,初年度の遅れをほぼリカバリーし,2年目の研究内容を実施できたと考えている. 「らせん鋲による打鋲シミュレーション」では,昨年度の問題であった被接合部材の材料定数設定の問題は解決でき,ほぼ実験と同じ打鋲時の鋲の挙動をシミュレートすることができている.一方,鋲が貫通する際の接合部材の貫通部の挙動が,実際と異なる問題を残しているが,この問題を解決するための糸口は把握している. 次に,「ブラシレスモータの原理による鋲への高速回転の付与」については,初年度にブラシレスモータを用いた鋲への回転付与装置の設計までを完了していたので,昨年度はその回転付与装置の製作を行った.現段階として,回転付与装置を用いたサポート弾の回転試験までは実施できているが,回転付与装置を打鋲装置に取り付ける際に問題を生じており,現在改善中である.また鋲に与える回転トルクを大きくするために,鋲をセットするサポート弾の回転数か,慣性モーメントを大きくしなければならない.しかし,回転付与装置の試験の結果,現在使用しているモータでは出力が小さく,慣性モーメントを大きくした場合には,鋲に十分な回転速度を与えることが難しいことが明らかになった.これらの問題に対しては,回転付与装置の取り付けの問題を改善しつつ,モータの容量アップを現在検討中である.またトルク付与については,モータの容量アップが難しい場合を想定し,別途新しい方法も検討している. 以上のように,課題を残しているものの,それぞれに対応策を講じており,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,まず「らせん鋲による打鋲シミュレーション」において,破壊挙動までを正確に再現し,打鋲シミュレーションによる鋲の最適形状の決定を行う.また,当初目標としていた「鋲へのT=20 N-m程度のトルク付与」を実現するために,「ブラシレスモータの原理による鋲への高速回転の付与」について,モータの容量アップを検討すると同時に,ブラシレスモータの原理とは別に,高トルクを付与できる方法の検討を進め,実験的検証を行う. 「らせん鋲による打鋲シミュレーション」では,現時点での問題である鋲貫通時の接合部材の離散について,要素形状やサイズ,破壊クライテリオンの見直しにより問題を解決する.その後,打鋲シミュレーションを活用して,鋲先端の最適形状と貫通時の抵抗力等との関係や,鋲に設けるらせん溝のリード角と回転トルクとの関係を明らかにする.なお,鋲先端の最適形状や鋲のらせん溝のリード角と回転トルクとの関係については,すでに準静的な実験で結果を得ているので,その実験結果と比較することでシミュレーションの有効性を検証し,その後実験で得られなかった現象について,打鋲シミュレーションにより探索を進める. 次に,「ブラシレスモータの原理による鋲への高速回転の付与」については,ブラシレスモータの出力アップを検討すると同時に,回転付与装置の打鋲装置への取り付け問題の改善を図り,打鋲試験を実施する.また,モータの容量アップが難しい場合を想定し,ブラシレスモータとは別の方法による鋲への高トルク付与方法を検討しており,その実験的検証を進める.その後,高トルク付与した鋲により接合した被接合部材の接合強度について,静的なせん断引張試験や十字引張試験に加えて,十字引張による疲労試験を実施し,ブラインドリベットとの総合的な強度比較を行う.
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