研究課題/領域番号 |
21H01218
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
井上 遼 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (60756295)
|
研究分担者 |
青木 卓哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (40358635)
新井 優太郎 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 助教 (70844439)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
|
キーワード | マルチフィジックス / 溶融含浸法 / セラミックス基複合材料 / 濡れ性 / 反応 / CMC / CFD / 熱力学データベース / アーク溶解 / セラミックス複合材料 / マルチフィジックスシミュレーション / 力学特性 / 流体シミュレーション / 溶融含浸 / 高温強度 |
研究開始時の研究の概要 |
セラミックス繊維織物中に溶融金属を含浸させ複合材料のマトリックスを形成させる溶融含浸プロセスを高度化し、既存の複合材料の耐熱限界を打破することを目的に行う。熱力学データベースを用いて溶融金属と反応を予測し、1500℃以上の耐熱性能を有するマトリックスを設計・その場形成させる。含浸不良を防ぐべく、プロセスの肝である固/液界面での反応層の形成を考慮できる流体シミュレーション手法を確立する。溶融含浸時に生じる現象を定量的に理解するとともに、気孔率5%以下の複合材料を創製できるプロセス条件を導き出す。
|
研究実績の概要 |
本研究ではセラミックス系複合材料の製造プロセスの一つである溶融含浸法を応用し、既存の複合材料の耐熱性能と高温での力学特性を向上させることを目的として実施している。溶融含浸法は多孔質プリフォーム中に溶融金属(または合金)を含浸し、反応させることによってマトリックスを得る方法である。溶融金属の含浸とプリフォーム中の炭素源と合金界面での反応が同時に生じるマルチフィジックス現象として取り扱う必要がある。本研究では(1)反応を考慮した溶融金属の含浸シミュレーションによって最適なプロセス条件を導き出すこと、(2)溶融合金を熱力学データベースを利用し設計し、耐熱性能に優れたマトリックスを形成させること、(3)得られた複合材料の高温での力学特性を確認し、既存の材料に比べて優れた特性を有するか検証すること、以上3点について検討している。 本年度は、(1)及び(2)を実施し、反応によって生じる界面での固相形成を考慮した流体シミュレーションを実施し、固相が形成されることによって生じるチョーキング現象を再現できることを確認した。また、モデル実験とシミュレーションから、含浸変位(金属がどのくらい含浸したかを示す指標)を調べ比較したところ、良い一致を示すことを確認した。(2)においては、既存の複合材料で利用されているSiを基本とし、3元系状態図から高い耐熱性能を有する合金を選定し試作した。SiC繊維プリフォームに溶融含浸したところ気孔率にして~5%以下の比較的緻密な材料を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請段階からシミュレーションに着手し、溶融含浸法の肝である界面での固相の形成を再現し、それらが含浸変位に及ぼす影響を調べた。計算及びモデル実験での結果はおおむね一致しており、最も重要な現象を再現することができたといえる。マトリックスの設計、試作及び複合材料の作製においても、熱力学データベース、アーク溶解、炭素炉を利用して気孔率5%以下の緻密な材料を得ることに成功しており、おおむね順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、プリフォームの構造をシミュレーションで再現すること、それらをプロセスにフィードバックしつつ、力学特性の評価を行う。シミュレーションに必要な計算機などの一部、当初の計画していなかった支出がある可能性があるものの、昨年前倒しで気孔率測定用ソフトを購入しており、研究遂行上問題はない。
|