研究課題/領域番号 |
21H01230
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40323042)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 超精密切削 / 金型加工 / プレス成形 / 光学レンズ / グラフェン成膜 / ガラス成形 / 微細構造表面 / 超硬合金 / SiC / レンズアレイ |
研究開始時の研究の概要 |
分割切削法を用いて超硬合金や反応焼結SiC金型の超精密加工を行い,切削面へフェムト秒レーザを照射することによって表面ナノ周期構造を形成させる.さらに金型表面へグラフェン膜をコーティングし,高温ガラスプレス成形に使用する.これにより,ガラス製マイクロレンズアレイなどの微細構造表面の高精度創成を可能にする.
|
研究実績の概要 |
本研究では,スローツールサーボ(STS)援用分割切削を用いて超硬合金や反応焼結SiC金型の超精密加工を行い,切削面へフェムト秒レーザを照射することによって表面ナノ周期構造(LIPSS)を形成させる.さらに,LIPSS表面へグラフェン膜をコーティングすることによって高精度・長寿命かつ離型性の優れる金型を製作する.そして,製作した金型を用いてガラスプレス成形を行い,ガラス製マイクロレンズアレイや各種の微細構造表面の高精度創成を可能にする.令和4年度では,前年度で加工した超硬合金や反応焼結SiC金型表面へのLIPSS(レーザ誘起ナノ周期構造)形成とグラフェン成膜を行い,その形成メカニズムや成膜特性の究明を行った.具体的には,切削後の金型表面に対してフェムト秒パルスレーザ照射を行い,LIPSSを全面に形成させるための照射条件の探索を行った.1方向のLIPSSを形成する場合,表面異方性が現れ,プレス成型時にガラスの流動特性に影響を及ぼす可能性がある.表面異方性を抑制するためには,本研究室が独自に開発したナノドット形成法を用いてレーザ照射を行った.特に可能が困難とされている反応焼結SiCについて,フェムト秒パルスレーザ照射を行い,様々なLIPSSが形成の可能を検証でき,またナノ周期構造のピッチや深さの制御も可能であることを確認できた.さらに,ナノ周期構造のピッチや深さの制御も試みた.その後,グラフェンCVD装置を用いてLIPSS表面へのグラフェン成膜を行い,成膜条件の最適化を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超硬合金および反応焼結SiC金型表面へのLIPSS(レーザ誘起ナノ周期構造)形成とグラフェン成膜のメカニズム究明を行ったことで,ガラス成形金型の製造技術における技術革新の可能性を見出した.特に反応焼結SiCのフェムト秒パルスレーザ照射でLIPSSを全面に形成させるための照射条件の探索を行った.その結果,様々なLIPSSが形成可能であることと,ナノ周期構造のピッチや深さの制御も可能であることを確認できた.これは今後金型性能向上に大きく寄与する内容である.また,グラフェンCVD装置を用いてLIPSS表面へのグラフェン成膜を行い,成膜条件の最適化も実現している.以上のことより,年度内の研究内容はほぼ順調に進展していると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度では,金型表面へのLIPSS(レーザ誘起ナノ周期構造)形成とグラフェン成膜を行った金型を用いてガラスマイクロレンズアレイの成形を行い,成形機構や界面現象を調べ,最適な成形条件を解明する.具体的には,開発した金型を用いてガラスのプレス成形実験を行い,マイクロレンズアレイ形状の転写精度を計測する.また,成形過程におけるガラスとグラフェン膜と表面形態変化について観察と分析を行い,ガラス・グラフェン膜・金型基材間の界面現象を解明する.最終的に界面構造の最適化によって,離型力の低減と金型の長寿命化を達成する.
|