研究課題/領域番号 |
21H01240
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
谷 弘詞 関西大学, システム理工学部, 教授 (40512702)
|
研究分担者 |
呂 仁国 関西大学, システム理工学部, 教授 (90758210)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 摩擦発電 / トライボロジー / DLC / 振動発電 / エネルギーハーベスティング |
研究開始時の研究の概要 |
振動発電は身近な振動や動きから発電を行う汎用性の高い技術であり,その応用はIoT(Internet of Things)向けの電源用途など極めて多岐に渡る.本研究では,申請者が提案する摩擦発電式振動発電技術において,実用的なデバイスの構造を確立し,摩擦発電機として世界最高レベルの発電量を達成することを目標とする.具体的には(1)帯電フィルムの帯電電荷密度増加のための樹脂材料・構造の検討,(2)イオン液体の極微量添加による摩擦発電出力の向上,(3)帯電による高電場中におけるトライボロジー現象を明らかにする
|
研究実績の概要 |
本研究では,申請者が提案する摩擦発電式振動発電技術において,実用的なデバイスの構造を確立し,摩擦発電機として世界最高レベルの発電量を達成することを目標とする.具体的に2022年度は以下の研究を行うことを目標とした. (1)イオン液体含有PVDF樹脂フィルムによる発電出力向上:当初,イオン液体膜を樹脂表面に形成し発電出力向上を目指したが,製造方法の簡便化を図るため,イオン液体を含侵したフィルム製造方法を検討する.2021年度の検討から,イオン液体を数ppmオーダ含侵させることで発電出力が増加することが分かったので,その出力増加メカニズムを明らかにする.(2)ポーラスシリコンゴムフィルムによる発電出力向上:PVDF樹脂やポリイミドフィルムは高価なため,安価な素材としてシリコンゴムでの発電出力向上を目指す.未硬化シリコンゴムに水を混合した後硬化剤を混ぜて,マイクロウェーブ加熱することで水を蒸発させてシリコンゴム発泡フィルムを作成する.この発泡体の変形しやすさと表面積増加の効果を使って発電出力向上を検討する.(3)高電場中における炭化水素膜のトライボロジー現象確認:ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜,ポリエチレン膜など用いて高電界中で摩擦試験を行い,摩擦係数や摩耗に対する電場の効果を確認する.また,摩耗形態を観察することで,電場がトライボロジー特性に与える影響を考察する. 上記目標に対して,以下の結果を得た.(1)イオン液体をシリコンゴムに10~20ppm添加することで約2倍の出力向上があることを確認した.このメカニズムとしてシリコンゴム表面の電荷密度が大きくなることを空間電荷密度測定により確認した.(2)イオン液体を添加したシリコンゴム作成時に水を添加・乾燥してポーラスなシリコンゴムを作成するとさらに発電出力が2倍程度向上することを確認した.(3)高電場中でDLC膜を加熱すると炭化水素油が気相中で生成されることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた3つの目標を,予定通りのスケジュールでクリアしており,期待した結果を得ることが出来ている.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は,研究実績の概要で述べた(3)高電場中における炭化水素膜のトライボロジー現象確認:ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜,ポリエチレン膜など用いて高電界中で摩擦試験を行い,摩擦係数や摩耗に対する電場の効果を確認する,を中心に研究を進める.また,実際に作成した摩擦発電機を用いて長時間繰返し発電することでの帯電膜等の損傷形態を明らかにすることで,高電場中での摩擦現象を見極めることを試みる.
|