研究課題/領域番号 |
21H01246
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
土井 謙太郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20378798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | 電気流体力学 / イオン電流 / イオンダイオード / マイクロ・ナノ流路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,イオンダイオードを用いてマイクロ・ナノスケールの流動現象を究明することを目的とする.そのために,ナノ流路において非対称な電流電圧特性を示すイオンダイオードを構成してイオンの濃度測定を実現し,イオン電流と流動現象の相関を調べることにより,流れ場を定量評価するための方法論を構築する.ナノスケールでは,可視光で位置と速度を正確に測定するための十分な分解能を得ることが困難となるが,液体中で最小の粒子と考えられるイオンをに注目し,イオン電流を用いて流動現象を解析する方法を提案する.ここで開発される流動計測技術は,ウィルスや一分子解析技術,環境・エネルギー技術の発展にも貢献することが期待される.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,これまで独自に研究開発を行ってきた,液中のイオン濃度測定技術を確実なものにし,さらには,それを用いてマイクロ・ナノスケールの流動現象を究明することを目的とする.従来,トレーサ粒子を用いた流動現象の可視化が行われてきたが,ナノ流路においては粒子の大きさや物性が流動現象に及ぼす影響が無視できないことが危惧されることから,さらに微小なトレーサ粒子が必要とされる.一方で,可視光では位置と速度を正確に測定するための十分な分解能を得ることが困難となる.そこで,液体中で最小の粒子と考えられるイオンを用いて流動現象を解析する方法を提案したい.そのために,ナノ流路構造において非対称な電流電圧特性を示すイオンダイオードを作製してイオンの濃度測定法を確立し,それを用いてイオン電流と流動現象の相関を調べ,理論モデルに基づいてナノ流路内部の流れ場を定量評価するための方法論を構築する. 本年度は,シリコン基板にエッチングにより作製したナノ流路とシリコーン樹脂に形成したマイクロ流路を直交するように接着して一体とした試験用流路を作製した.流路を電解質溶液で満たし,マイクロ流路の液体をシリンジポンプにより駆動しながら,シリコン基板上のナノ流路にイオン電流を発生させて液の流動に対するイオン電流応答を計測するシステムを構築した.実験の結果,マイクロ流路を流動する液の流量に応じたイオン電流応答を確認した.液が静止した状態のイオン電流に対して,マイクロ流に流動がある場合にイオン電流に対する単調な抵抗の増加が見られることから,イオン電流による流動の定量評価が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り,ナノ流路の微小イオン電流を用いてマイクロ流路の流動を捉えることができたことから,計画は順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに,ナノ流路によるイオン電流の整流およびダイオード特性を調べてきており,試料液を用いた濃度測定を行ってきたことから,ナノ流路を用いたイオン電流計測については十分な知見を得てきている.引き続き,液体の流動場におけるイオン電流応答について計測を行い,流動とイオン電流応答について定量的に評価する.さらに,マイクロ流路に試料液を流入し,試料液の電解質成分に対するイオン電流の応答を調べる.ナノ流路をプローブとしてマイクロ流路の試料液を分析するシステムを構築する.
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