研究課題/領域番号 |
21H01247
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
花崎 秀史 京都大学, 工学研究科, 教授 (60189579)
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研究分担者 |
沖野 真也 京都大学, 工学研究科, 講師 (30711808)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 成層流体 / 乱流 / プラントル数 / 高プラントル数 |
研究開始時の研究の概要 |
鉛直方向に密度差を持つ成層流体においては、1%未満の密度差が流れを大きく変化させる。成層乱流の挙動は、密度勾配を表すフルード数、レイノルズ数、物質定数であるプラントル数Prの3つで決定されるが、従来の数値計算では、ほとんどPr =1に固定されてきた。しかし、現実の固体溶液ではPrは1000のオーダーであり、最近のPr=700に対する数値計算も、低Prと大きく異なる結果を示している。本研究では、超高プラントル数の成層乱流について、数値計算、水槽実験、理論解析により、その新しい原理を解明する。
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研究実績の概要 |
超高プラントル数の典型である塩分成層流体(Pr=700)中の乱流を、乱れの積分長で定義したレイノルズ数がRe=50~100の場合について、数値計算、水槽実験、理論解析により調べた。 1. 数値計算(DNS):本年度も継続して、直接数値シミュレーション(DNS) を、周期境界条件を課した立方体領域に対して行った。注目する物理量は、速度場(運動エネルギー)、スカラー撹乱(位置エネルギー)、スカラーの鉛直フラックス(運動エネルギーと位置エネルギーの交換量)などの空間分布と、その時間変化である。これらの量の波数空間でのスペクトルと、実空間での構造との対応関係を詳細に調べることにより、Pr=700付近で見られる階段状のスペクトルが持つ意味と、その発現メカニズムを明らかにした。
2. 水槽実験:速度場をPIV法、塩分濃度場の時間変化をLIF法によって計測した。PIVには、Nd:YAGレーザーを用いた。塩分濃度場を測定するLIFは、ローダミン110(吸収波長496nm, 蛍光波長520nm)に連続発振の固体レーザー(488nm) を照射して行った。LIF計測において、高波数におけるCCDカメラのノイズを、波数空間で解析することによって除去することができ、塩分濃度場(密度場)スペクトルの数値計算との一致を確認できた。
3.理論解析:Rapid Distortion Theory (RDT) による解を、様々なプラントル数、レイノルズ数に対して求め、DNS及び水槽実験との比較を行い、超高プラントル数乱流が持つ特異なスペクトルの起源を理論的な側面から明らかにすることを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値計算と理論は、ほど予定通りに進行している。水槽実験については、大型水槽の製作が業者の廃業によりできなかったため、大型水槽の実験が開始がまだできていないが、小型水槽の実験結果(塩分濃度場測定)のスペクトル解析においては、手法の検討により、数値計算との比較が適切にできるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
実験においては、大型水槽の導入により、(1)水槽の壁面境界層の影響を排除した状況下での実験を行う。(2)小水槽では行えなかった高レイノルズ数の実験を行い、現実の海洋など、高レイノルズ数の成層乱流が持つ性質を予測する。 その結果も取り入れながら、数値計算、Rapid Distortion Theory (RDT)理論、水槽実験の、できる限り定量的な比較を行っていく。
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