研究課題/領域番号 |
21H01255
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
植村 豪 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70515163)
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研究分担者 |
田部 豊 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80374578)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | リチウム空気電池 |
研究開始時の研究の概要 |
リチウム空気電池は理論容量の最も大きい二次電池であるが,放電に必要な酸素が電解液中を十分に輸送できず,実用化レベルの電流密度が達成できていない.一方,申請者らの先行研究において,空気極の炭素構造体,空隙,電解液の三者が特異的に共存する三相界面が多数形成できれば,酸素が反応面へ輸送されやすい環境が形成され,高電流密度で放電できる可能性が示唆された.そこで本研究では含水したサンプルの観察が可能なCryo-SEM法を用いて,空気極内部の電解液の濡れ形態を直接観察し,放電反応が生じる三相界面近傍の酸素輸送現象を解明して,リチウム空気電池の高出力化を実現できる電極構造を見出す.
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研究成果の概要 |
本研究ではリチウム空気電池正極における酸素輸送効率の向上を目指し,電極構造と電解液の濡れ形態が放電性能におよぼす影響を調べた.反応面が平滑な電極を用い,反応面に対する電解液の接触角を変化させて放電試験を行った結果,接触角を小さくするほど放電性能が向上し,反応面を覆う電解液厚さが薄い条件になることで反応面への酸素の輸送抵抗が低減され,高い電流密度でも放電ができるようになったと考えられる.また,多孔質電極内の電解液分布を変化させた放電試験では,電解液を電極内の全ての空隙に含侵させて反応面積を拡大するより,部分的に浸透させて気中からの酸素輸送経路を確保する方が放電性能を向上できることを示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の研究では放電に伴って生じる析出物への対処のため,正極の比表面積を増加させる研究成果が多数見られたが,本研究ではリチウム空気電池の高出力化に向けて,正極の多孔質構造と正極内における電解液の分布(濡れ)が重要な因子であることを示した.また,リチウム空気電池はその理論容量の大きさから,電気自動車用の重要な電源となるだけでなく,再生可能エネルギーの利用・普及に向けた,大容量かつ安全な蓄電デバイスとしても重要な役割が果たせる.さらに本研究で対象とする水系リチウム空気電池では従来の有機電解液を用いたリチウムイオン電池のような,短絡時の火災リスクも大幅に低減できる.
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