研究課題/領域番号 |
21H01269
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福原 洸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10827611)
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研究分担者 |
増田 容一 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (70849760)
郡司 芽久 東洋大学, 生命科学部, 助教 (80833839)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | バイオメカニクス / 四脚ロボット / 解剖学 / 前肢ロック機構 / 四脚動物 / 旋回行動 |
研究開始時の研究の概要 |
四脚動物が示す歩行,走行,採餌,営巣といった多芸多彩な振る舞いの背後には,器用に働く前肢の存在がある.前肢は,身体を力強く支持・推進させるロコモータとして機能する一方で,推進の向きを変える「舵取り」の役目や,物体を把持操作するマニピュレータとしての機能も有する.この前肢の状況依存的な機能発現の源泉ともいえる現象を,申請者らはライオン前肢の解剖から発見した.それは前肢の体重支持に伴う「足先の不動化現象」である.本研究では,解剖学,ロボット工学,制御工学の連携により不動化現象のメカニズム全容を明らかにし,四脚ロボットの即時適応的な振る舞いを生み出す脚抹消の新たな設計論へと昇華することを目的とする.
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研究実績の概要 |
当該年度では,各研究実施項目において下記のような成果を得た. 研究項目1)前腕ロック機構の原理理解:食肉目哺乳類であるツキノワグマの前肢を用いて,前腕の捻じれ剛性を計測した.その結果,垂直荷重が大きくなるにつれて,前肢のねじれ剛性が高まることが明らかとなった.また,前肢の筋肉(屈筋群・伸筋群)を部分的に切除することで,前腕ねじり剛性の垂直荷重依存性が消失したことから,前肢のロック機構において筋腱を介した連動が重要な役割を果たしていることが示唆された. 研究項目2)動物の歩行・旋回運動計測と解析:動物園との連携により蹠行性動物(レッサーパンダ)の旋回歩行の運動計測をおこなった.直進歩行運動に比べて180度の旋回歩行運動では,脚脚のduty factor(1完歩における支持脚期の割合)が大きく変動することが分かった.これは進行方向の変更に伴う移動速度の影響に加えて前後・内外の足運びの変化が影響していると考えられる. 研究項目3)旋回運動における検証:本年度は旋回歩行における前肢自由度の影響を検証する前段階として,四脚ロボットの基礎となる旋回歩行中における脚間協調制御則とバランス制御の開発と検証を行った.上位からの旋回方向の司令と各脚の力学的な負荷に応じて脚の外転・内転方向の運動自由度を制御する脚間協調制御モデルでは,前後の重心位置に応じて前脚・あるいは後脚による旋回を実現している(論文投稿中).また,バランス制御においては,局所的な脚の負荷情報・関節角度に基づく単純な反射メカニズムを実装することで,四脚ロボットの体幹姿勢のバランスを維持する振る舞いを発現することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画の2年目では前腕部の不動化現象を動物解剖と運動計測を踏まえて明らかにし,ロボットモデルの構築を通して検証する予定であった.しかしながら,サンプルの計測装置の開発が当初計画よりも遅れたため,ロボットモデルの構築までには至っていない.サンプルの計測から,不動化現象を発現する解剖学的特徴の選定までは済んでいるため,今後,当該筋肉の影響を計測することと,ロボットモデルの構築を同時に遂行することで全体の実施計画の修正は可能である.
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今後の研究の推進方策 |
動物サンプルの前腕ねじり剛性の計測をより推進するために,国内の解剖学者との連携へ広げる予定である.また,解剖学とロボット学を融合研究を行っている国内外の研究者を集めたorganized sessionを国際会議にて計画しており,研究発表・議論を通した分野融合の促進も図る.
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