研究課題/領域番号 |
21H01271
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
年吉 洋 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50282603)
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研究分担者 |
橋口 原 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (70314903)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
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キーワード | MEMS / 振動発電 / エナジーハーベスタ / エレクトレット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、IoT無線センサ等の自立電源として有力視されているMEMS型環境振動発電の効率と信頼性を高める研究として、発電機能材料であるシリコン酸化膜由来のエレクトレット (永久電荷膜)の電荷密度が経時変化するメカニズムを分子動力学的手法で解明する。また、特性劣化を抑制する手段として、エレクトレット材料の表面保護膜による還元性ガス拡散 の防止や、エレクトレット膜中へのバリア層挿入によるシリコン基板側からのキャリア侵入抑制などの対策を施し、その効果を検証する。さらに、これらの知見と対策を活用して、65°Cで-1dB劣化までの時間が10年以上の高信頼性エレクトレット振動発電素子を実証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、IoT無線センサ等の自律電源として有力視されているMEMS型環境振動発電素子の発電効率と素子信頼性を高めるための研究として、機械-電気エネルギ変換材料であるシリコン酸化膜由来のエレクトレット(永久電荷)膜の電荷密度が経時変化するメカニズムを実験および分子動力学的手法を用いて解析した。また、特性劣化を抑制する手段として、エレクトレット材料の表面保護膜による水分子吸着の防止や、エレクトレット膜中へのバリア層挿入によるシリコン基板側からのキャリア侵入抑制などの対策を施し、その効果を検証した。さらに、これらの知見と対策を活用して、エレクトレット電位が10%劣化するまでの時間を10年以上に改善した高信頼性エレクトレット振動発電素子を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エレクトレットの帯電電圧が劣化するメカニズムとして、(1)エレクトレット膜表面への空気中の水分の吸着、(2)エレクトレット膜中への水素分子の拡散、(3)振動発電素子の実装方法の影響の3点を実験的に検証した。その結果、各項目への対策として、(1)表面への水分子吸着を阻害する疎水性自己組織化単分子膜の形成、(2)素子雰囲気中の水素を選択的に吸着してエレクトレットへの拡散を防止するゲッタ剤、(3)実装に使用した接着剤の劣化を防止する真空封止の3点が有効であることを実証した。また、エレクトレット材料の分子動力学的計算結果から、イオン化した水素原子が負に帯電したエレクトレットの分子構造を壊して中性化する様子が確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
エレクトレットの劣化を定量的に精度良く検証するために、エレクトレット膜の帯電電圧を高速かつ高精度で計測する必要がある。そこで本研究では3端子構造のMEMS振動発電素子を用いて静電誘導電流を計測しつつ、外部から印加したDC電圧によってエレクトレットの効果が相殺された点でエレクトレット電位を同定する新しい計測手法の確立に取り組む。
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